5−1−1 海域への延長と地形

本郷地域は、菊川断層の北端に位置し、菊川断層の海域への延長を検討する上で重要な位置にある。また、本郷川の河口に位置し、海岸沿いの平野であるため、新しい時代の堆積物が分布していると推定される。そのため、菊川断層の北部の活動性を評価し、海域への延長を検討するためのトレンチ候補地として可能かどうか精査を行った。北側では三角末端面が続き、リニアメントとして認定できる。そのリニアメントの延長が本地域の平野上に延びる。

本郷地域は、既に、ほ場整備が行われているため、ほぼ平坦な地形であるので、ほ場整備前の地形図から、等高線図を作成し検討した。ほ場整備前の等高線図を図5−1−1に示す。

図5−1−1に示すように、調査測線の山側に尾根状の張り出し地形が見られる。この張り出し地形は、三角末端面から認定できるリニアメント及び地表踏査による菊川断層の延長線上に位置する。 

また、海域への延長については、今回、特に調査は行っていないが、ここでは海上保安庁水路部による既存調査(昭和60年3月)資料(図5−1−2に示す)により検討する。

海上保安庁水路部の調査では、陸域の菊川断層の延長として「神田岬沖断層」を記載しており、この「神田岬沖断層」は三角末端面から認定できるリニアメント及び旧地形の尾根状の張り出し地形の延長上に位置する。

今回調査を行ったのは、菊川断層と「神田岬沖断層」の延長線上、かつ張り出し尾根状の地形を有する箇所である。

なお、海域の調査では、「神田岬沖断層」の南西側にもう1条断層を推定しており、両断層の間で更新統が落ち込む構造を推定している。