3−1−1 地形概要

調査地域は山口県西部に位置し、北から豊浦郡豊浦町、菊川町から下関市に至る地域である。調査地域の北西端は日本海(響灘)に面しており、また南東端は瀬戸内海(周防灘)付近まで達している。

本地域の地形は大きく南北の山地と中央の低地に区分される。低地は山地中の河川に沿って、概ねNW−SE方向とNE−SW方向に分布する。

山地は狗留孫山(標高616.3m)、京ヶ嶽(標高672.0m)、華山(標高713.8m)といったやや突出した山頂と、その周囲に広がる標高500m内外の侵食小起伏面である吉備高原面、及び調査地域南部で標高200m内外の侵食小起伏面としてみられる瀬戸内面からなる(吉川ほか,1973)。調査地域の中央部をNW−SE方向に走る、各河川が形成した谷底平野を境に、その北東部と南西部では、山地高度は異なっており、一般に北東部が南西部に比して高標高を示す。

低地は主に、各河川沿いの谷底平野、盆地よりなる。谷底平野の幅は調査地域南部では比較的広く500mほどであるが、北部では狭く100mほどになる。盆地は、田部川、木屋川合流部一帯に広がる田部盆地と、調査地北東部の木屋川流域豊田町西市一帯に広がる西市盆地がある。各河川沿いには断片的に河成段丘が分布し、連続性が悪く小規模であるが、両盆地周辺部では河成段丘や、扇状地が比較的発達している。特に田部盆地北部にみられる岡枝扇状地は、山口県下では規模の大きな扇状地として知られている(山口県,1979)。また木屋川河口、周防灘に面した海岸沿いには、小規模ながら海成段丘が分布する(日本第四紀学会,1987)。

図3−1−1に菊川断層周辺の接峰面図を示した。

※中国山地の浸食小起伏面:中国山地には3段の浸食小起伏面(浸食平坦面)があるといわれる。各浸食小起伏面は高位から道後山面(標高1000〜1500m)、中位の吉備高原面(山陰側では石見高原面、標高500m前後)、最も低位の瀬戸内面(標高300m以下)と呼称されている。