(1)測定原理

壊変定数を用いた年代測定では、指標核種(14C)の初期量(C),壊変量(C−C),現在量(C)のうち2つの量を測定し、壊変定数(λ)を用いて年代(A)を算出する。一般に初期量の一部は壊変して減少しているから、実際の測定は、壊変量(C−C)と現在量(Ct)について行うことになる。

年代を算出する一般的な式は、

式2−7−1

で示される。

壊変定数(λ)と、半減期(T1/2)の関係は、CがCの1/2になるときの年代(A)がT1/2であるから,T1/2・λ=ln2=0.6931である。

[指標核種] 放射性炭素(14C), [壊変定数] λ=1.22×10−3/年

[壊変生成核種] (窒素)     [半減期]  T1/2=5568年

[測定可能年代範囲] 0〜3×10年(GPC),(閉鎖系、減衰法、破壊法)

[測定方法・機器] 液体シンチレーション計数管

[測定対象試料] 生物遺体

[測定される年代の意味] 生物体の死滅した時期

成層圏で窒素原子と中性子の原子核反応によって生じた放射性炭素は、炭酸ガスとして対流圏に入り、大部分は直接大洋に溶け込むが一部は光合成を通じて植物体内に入り、食物連鎖を通して広く生物圏に広がる。生物体の生命活動が停止すると新たな放射性炭素の補給は行われず、放射性炭素は5,730年の半減期で減衰していく(初期の測定値と整合性を保つため、5,568年が用いられている)。

β線計数法では、測定時間内に新たに壊変した放射性炭素の量から放射性炭素の残存量を推定する。