(1)測定原理

地球上で観測される重力値は場所によって異なる。地下に密度の大きい物質が存在すれば、地上で観測される重力値は大きくなる。逆に、地下に密度の小さい物質が存在した場合、その場所は周囲に比較して重力値が小さくなる。図2−4−1に重力分布と地下構造の関係を示す。

図2−4−1(f)のように、断層変位等によって基盤構造に段差がある場合その直上で測定された重力値は地下の基盤構造を反映した重力異常として表れる。したがって、この原理を利用すると、重力値を多点で測定・解析することによって基盤構造を推定することができる。なお、表2−4−1に今回の探査諸元をまとめた。

以下に探査測定・観測・探査の方法についてまとめた。

今回の測定には、Scintrex社(Canada)製のサーボ制御型重力計を用いた。図2−4−2に重力計の測定原理を示し、表2−4−2に機器の仕様を示す。

測定は、図2−4−3の模式図に示すような閉環測定によって行った。この方法は、任意に設けた基準点(基点)を出発して、測定点1,2,3,・・・,i,i+1,・・・と重力測定を行い、再び基点に戻って測定するものである。このとき、基点での閉合差がある許容誤差の範囲に納まれば測定を終了し、もし、閉合差が大きければもう一度その環の測定をやり直すことになる。閉合差とは、閉環測定の最初と最後の基点での測定値の差である。今回の測定では、以上のような閉環測定をそれぞれの測定エリアについて1回実施し、データの良否の確認を行った。