2−3−2 解析方法

図2−3−4に解析の流れ図を示した。以下に解析の手順を述べる。

(1)解析用データセットの完成                           

測定したデータには様々の要因による外的なノイズが含まれている。解析に先立ちこれらのノイズをデータから取り除く。方法としては測定データをグラフ化し、明らかに異常なデータは取り除く、また、ノイズの要因が明確な場合にはデータの修正を行う。

修正後のデータに測線測量の標高データを付け加えて解析用のデータセットを完成させる。

(2)前出の@式を用いて比抵抗疑似断面図(見掛比抵抗分布図)を作成する。疑似断面図は真の比抵抗分布を示すものではないが、大まかな比抵抗構造を把握することが出来る。また、この際明らかに異常なデータが確認された場合にはもう一度、データの見直しをする。

(3)補正処理

測定したデータにはa)で取り除いた外的なノイズ以外に地形や測定方法(原理)に起因する要素が混入している。これらを解析前に取り除くために以下の補正処理を行う。

(a)地形補正:探査測線が平坦ではない場合、測定値には地形の影響が含まれる。そこでFEMによるシュミレ−ションを行い、地形の起伏が測定値におよばす影響を計算し、補正係数を算出する。

(b)遠電極補正:比抵抗映像法の電極配置は2極法を用いている。このため、理論的には1対の電極で地盤の抵抗値を測定していることになる。つまり、遠電極は無限遠方にあると仮定している。しかし、実際の測定では遠電極間までの距離は有限である。このため、遠電極までの距離の影響が測定値には混入している。この影響を低減するために行う補正である。

(c)感度補正:2極法配置の感度分布は、測定点直下よりむしろ電極の両端の方が大きい。そのため、測定点直下の感度が最大になるような補正を行う。

(4)初期モデル図の作成

各種の補正が終了したデータを用い再度、比抵抗疑似断面図を作成する。ここで作成した図を以下の理論計算の初期モデルとする。

(5)リニアフィルター法による連続1次元解析                             

(4)の見掛比抵抗分布を初期モデルとして、このモデルのような構造の場合に、観測されるはずの見掛比抵抗分布(つまり測定値)を理論的に計算する。計算はリニアフィルター法を用いた連続1次元解析で行う。この解析過程はいわゆる逆解析と呼ばれるものである。具体的には、与えられたモデルから計算した理論値と実際の観測値が一致するように逐次モデルを修正させながら繰り返し計算を行うといった方法である。

(6)FEMによる2次元解析                                  

(5)での結果を初期モデルとして、FEMによる2次元解析を行う。(5)の解析は基本的には1次元解析に近いもので、比抵抗構造が1次元的な場合には正しい結果が得られるが、2次元構造に対しては鈍感である。そこでFEMを用いて2次元解析を行い、さらに解析の精度と分解能を向上させる。

(7)比抵抗分布の図化、出力                            

最終的に決定された比抵抗分布をカラ−のコンター・マップ図として出力する。