(1)測定原理

一般にある物質に対する電気の流れ易さを導電率σ(moh/m)といい、その逆数を比抵抗ρ(Ω・m)と言い、物質の単位体積当たりの電気の流れ難さを表す。

ρ(Ω・m)= 1/σ(mho/m)  <比抵抗と導電率との関係>・・・・(1)

地盤の比抵抗は、土の種類、締め固めの違い、含水の違いなどにより大きく変化するので、比抵抗の分布を把握することによって、地盤の状況を推定することができる。表2−3−1に地盤物性と比抵抗の関係を示した。

たとえば土の種類では、粘土分の多い土ほど比抵抗は小さく、砂・れき分の多い土ほど比抵抗は大きくなる。また、間隙率が小さく含水率が大きいものほど比抵抗は小さくなる。したがって、断層や破砕帯が存在するとその箇所の比抵抗は一般的にその周辺の比抵抗と比較すると小さくなる傾向を示す。

次に比抵抗測定の探査原理を示す。 

全く平坦で比抵抗(導電率)が一様な大地上の1点から電流Iを流すと、電流は図2−3−1のに示す様に放射状に流れる。

図2−3−1 電気探査の原理

このとき、地盤内での等電位面は電流点を中心とする同心円になる。ここで、電流点から距離rの点における電流密度iは、

式2−3−1の(2)

となる。その点における電位勾配(電界:E)dV/drは電流密度に比例し、その比例定数が比抵抗ρであるので(2)式は、

式2−3−1の(3)

と書ける。次に通常電位Vは無限遠点からの電位勾配(電界)を点Pまで積分したものとなるので式(3)は以下の様に書ける。

式2−3−1の(4)

(4)式をρについて解くと、

式2−3−1の(5)

となる。よって、地盤に流す電流Iと、それからrだけ離れた地表における電位Vを測定すれば(5)式より地盤の比抵抗を求めることができる。

このようにして求められた比抵抗は、地表から深度rまでの平均的な比抵抗を示すものと考えられ、これを見掛比抵抗(通常ρaで示す)と呼ぶ。