(3)舘山地区トレンチ2の調査結果

<トレンチ2の地質層序>

表5−4−3に本トレンチの地質層序表、並びに年代測定結果を示す。また、トレンチ壁面写真を図5−4−15に、トレンチ壁面スケッチ(縮尺1/50)を図5−4−16に示す。

以下に本トレンチで確認された地層の層相を記載する。

・埋め土層

トレンチ東端に分布する堀を埋めた土からなる。中〜大礫サイズの亜円礫を混入する不均質な砂混じり粘土。皿やガラス瓶のかけらを含む。本層基底面には固結した粘性土が層状に分布しており、人工的に締め固めた痕跡であるものと推定される。

本層中の腐植質部分を試料採取し、年代測定を行ったところ暦年補正年代で、910〜1,500 cal y.B.Pが得られた。

・T2−A層:黒ボク

暗灰〜黒色を呈し、砂分を全体に少量混入する。上部は強腐植を呈するが下部ほど弱腐植となり、下位の褐色粘性土に漸移する。下部では礫を少量混入する。層厚は30〜50cmで、山地側(西側)ほど厚い傾向がある。

本層での年代測定結果は表5−4−3に示すとおり、上部で暦年補正年代値が約1,300〜1,500cal y.B.Pであった。

・T2−b層:粘土混じり砂礫

基質支持の砂礫。礫は細〜中礫サイズの亜円礫を主体とする。基質は粘土分を混入する細〜中粒砂主体。層厚は、北面では20〜50cmと変化に富むが、南面では、20〜30cmでほぼ一定である。

・T2−C層:細〜中砂

上方粗粒化が認められ、下部では細粒砂、上部では中粒砂を主体とする。層厚はトレンチ全体にわたってほぼ一定である。

・T2−D層:粘土〜砂質粘土〜砂

褐色を呈する粘性の強い粘土を主体とする。砂分をレンズ状に混入する。下部から中部にかけて細〜中粒砂のレンズを頻繁に挟在する。層厚は、北面、南面とも10〜13m付近で厚くなる。

・T2−E層:砂礫〜粘土混じり砂礫

礫支持の砂礫。礫は中〜大礫サイズを主体とし、巨礫を少量混入する。基質は細〜中粒砂を主体とし、粘土を一部混入する。部分的に基質に空隙部分が認められる。本層はインブリケーションなどの堆積構造は発達せず、淘汰の悪い砂礫からなり、下盤側のトレンチ1で確認された扇状地性の砂礫層T1−D層とは対比されないものと推定される。

本層中に取り込まれた腐植質粘土の礫より、暦年補正年代値 約9,500cal y.B.Pが得られた。

<トレンチ2の地質構造>

図5−4−16のスケッチ図に示したとおり、本トレンチで観察された地層はほぼ水平に堆積しており、断層運動による変形構造は認められない。

北面、南面とも、10〜13mの区間は、砂礫層であるT2−E層の上面が凹地状を呈する。しかし、この付近での砂礫層内部において礫の再配列などの変形構造は確認されなかった。また、上位のT2−D層の堆積構造も基本的に水平であり、T2−E層上面の凹地を埋める形で堆積したものと推定される。