2−4 トレンチ調査

最新の地質時代における断層変位の有無を確認し、年代測定に必要な試料の採取を行い、断層の最新活動時期、活動間隔及び単位変位量などの活動履歴を求めることを目的として、トレンチ調査を実施した。上記の目的に適した地点として、本年度、米沢市舘山地区を選定した。トレンチ地点選定の経緯については4.4.2章と5.4.1章にて詳細に記述する。

トレンチの規模及び数量は表1−1に示した通りである。トレンチ掘削の法面勾配は60°を基本としたが、地質状況を見て安全と判断される勾配とした。掘削後は直ちに法面整形及びグリッドの設置を行った。法面について、地層の堆積構造・連続性・炭質物の有無・断層運動による地層の変形構造等について詳細な観察を行い、スケッチ図(20分の1)及びその解釈図(20分の1、50分の1)を作成した。

トレンチ調査の手順は以下の通りである。

 

1)測 量:調査用地周辺の測量を行い平面図を作成した。

2)調査用地の設定:調査用地の境界を定め、杭打ち・ロープ張り等を行う。また、看板等を設置し、安全対策とした。

3)遺跡確認調査:米沢市舘山地区は遺跡指定地が分布している。掘削地点は指定範囲からは外れているが、確認の意味でトレンチ掘削に先立ち重機にて表土をはぎ取り、遺跡の有無を調査した。

4)トレンチ掘削:表層部分に遺跡等の埋蔵文化財が存在しないことを確認した後、重機にて所定の大きさのトレンチを掘削した。トレンチ内より湧水が発生した場合には、水中ポンプを用いて排水した。

5)法面整形:法面を人力にて堆積構造や変形構造がみえるように整形した。整形にはネジリ鎌や鋤簾、ハケなどを使用した。その後、水糸を用いて1m四方のグリッドを法面全体にはり、観察の際の基準線とした。

6)観察・採取:法面に現れた地層の堆積構造・連続性・炭質物の有無・断層運動による地層の変形構造等について詳細な観察を行い、スケッチ図(20分の1)及びその解釈図(20分の1、50分の1)を作成した。また、年代測定に有効な炭質物等の試料を採取した。また、法面の写真撮影を行った。

7)埋め戻し:観察と試料採取の終了後、掘削残土を転圧して十分に突き固めながら埋め戻しを行った。最後に表土層を埋め戻して原状に復旧した。

・トレンチ調査用地内仮設:資機材

バックホー:1台

掘削土運搬用トラック :2台

発 電 器:1台

安全用バリケード等:1式