ｔｉｔｌｅ

５－３－２　中部地域（白鷹町南部～長井市～飯豊町）
２－１）白鷹町姫城～飯豊町椿・寺ノ下地区

ⅰ）最終活動時期

ＮＬ４面扇状地群および沖積面に変位地形が認められる。ＮＬ４面扇状地の地形面形成時期は場所によって異なる。長井市平山地区では、３１２０±７０年の堆積物を含む地形面（ＮＬ４－２面）に変位が認められ、ボーリングにおいて確認された約１５００年前の堆積物を含む地形面（ＮＬ４－３面）に変位が認められない（図５－３－３）。また、深渕西地区のボーリング調査でも、５６００年前の地層が変位しているのが確認された（図５－３－４，図５－３－５）。

以上より、長井市平山地区では、最終活動時期がＮＬ４－２面形成後、ＮＬ４－３面形成前となる。ＮＬ４－２面およびＮＬ４－３面の形成を含まれる堆積物の年代値とすれば、最終活動時期は、およそ１５００～３１００年前となる。

ⅱ）平均変位速度

長井市勧進代地区では、ボーリング、浅層反射法探査により大きく傾斜した地層とそれにアバットする地層が確認されたが、年代決定に有効な試料が採取できなかったため平均変位速度を求めることはできなかった（図５－３－１，図５－３－２）。また飯豊町深渕西地区でも大きく傾斜した地層が得られたが、変位量を推定することができなかった。

長井盆地西縁地域では、他地域に比べＮＭ面が発達し、そこに変位地形も保存されている。ＮＭ面に認められる段差の高さは場所によって異なるが、６～１２ｍの範囲である。現在認められる段差を変位量とみなし、ＮＭ面形成時期を長井市山岸の地表査結果からでた年代測定結果（１７､８５７±９２年前）をもとに、概ね約２０，０００前と仮定すると、平均変位速度は、およそ０．３０～０．６０ｍ／１０００ｙとなる。

また、分布域北部ではＮＨ１面、ＮＨ２面に逆傾斜面ないしは逆方向の断層を伴う大きな撓曲崖が認められる。長井市草岡地区においてＮＨ２面の変位量を２５ｍとみなし（図４－３－１６：草岡ａ断面）、堆積物の年代（４３９６６±４４２；ＫＯ１）で除すると、約０．５７ｍ／１０００ｙという値が得られる。この値は、ＮＭ面を対象として推定した平均変位速度の範囲に収まる。

ⅲ）活動間隔

ＮＬ４扇状地面群のなかでも変位地形の比高に倍以上の違いが認められる。たとえば、長井市平山地区では、２～３ｍの比高のＮＬ４－１面、１～１．５ｍのＮＬ４－２面、変位が認められないＮＬ４－３面と沖積面が識別される。これはＮＬ４扇状地面群の中でも形成時期に差があり、その過程で複数回断層活動があったことを示していると考えられる。ＮＬ４－１面の形成年代が不明なため、年代の特定は出来ないが、ＮＬ４－１面形成以降少なくとも２回の活動を記録している可能性がある。

図５－３－１ボーリング地質断面図（長井市勧進代地区）

図５－３－２浅層反射法探査深度断面図（長井市勧進代地区）

図５－３－３ボーリング地質解析図（長井市平山地区）

図５－３－４ボーリング地質解析図（飯豊町深渕西地区）

図５－３－５浅層反射法探査深度断面図（飯豊町深渕西地区）