ｔｉｔｌｅ

５－３－１　北部地域（大江町～朝日町～白鷹町北部）
１－１）大江町富沢～朝日町沼ノ平

ⅰ）最終活動時期

朝日町常盤地区周辺では、ＡＬ３面に断層崖、撓曲崖が認められ、それぞれの段差が１～３ｍである。また、空中写真においてＡＬ３面の変位地形の延長上に位置するＡＬ４面に、不明瞭ながら変位地形が認められた。しかし地表踏査では、地形改変等のため確認できなかった。

以上より最終活動時期は少なくとも、ＡＬ３面形成後である。またＡＬ４面にまで変位地形が及んでいると仮定すると、最終活動時期はＡＬ４面形成後となる。しかしＡＬ３面、ＡＬ４面、沖積面の形成年代は、既存資料および今回の調査では、明らかになっていない。

ⅱ）平均変位速度

平均変位速度を推定するために必要な、地形面の形成年代や変位量を正確に見積もることは困難である。

しかし、朝日町赤釜から松程にかけて分布する断層変位地形は、より広範囲の地表踏査や地形面分布を考慮すると、全体として東上がりの断層であり、逆センスの断層は副次的な断層とする運動像が考えられる。これに当てはめて各面の変位量を推定すると、ＡＬ２面で７ｍ東上がりとなり、この値を断層による変位量とみなす。また、地表踏査による年代試料での測定結果より、近傍に分布するＡＭ面の年代値が２１，０００～２２，０００年前を示すことを参考にして、Ｌ２面の形成時期を１５０００～２００００年前と仮定する。以上より、平均変位速度をもとめると、約０．３５～０．４７ｍ／１０００ｙが推定される。

ⅲ）活動間隔

活動間隔を推定するために必要な、地形面の形成年代や変位量を正確に見積もることが困難である。

朝日町赤釜や松程では低位段丘面群が階段状に分布し、上位の段丘面ほど変位量が増している様子が観察される。これは、各段丘面が形成しつつある時期に繰り返し断層運動が起こったことを示している。ＡＬ４面も変位していると仮定し、変位していない沖積面から数えると少なくともＡＬ１面形成後に４回の活動があったと考えられる。