5−2−3 南部地域(川西町〜米沢市)

米沢盆地では従来から活断層の存在が指摘されてきたものの、詳細な調査はほとんど行われてこなかった。今回各種調査を実施し、活断層の存在を確認するとともにその位置や形態を詳細に調査した。

米沢盆地西縁部周辺では、中新世〜更新世にかけての地層が丘陵を形成し、その縁辺に比較的広い段丘面が広がる。最も明瞭な断層変位地形は、この丘陵と米沢盆地の境界に分布する。ここでのリニアメントは、比較的明瞭な断層崖を形成し、西上がりのセンスを示す特徴がある。ただし、米沢盆地北西部のリニアメントは、川西町上小松付近で北東−南西方向へ向きを変え、犬川から黒川の間では、変位地形は認められない。また川西町時田から認められるリニアメントは、米沢市遠山地区まで断続的に認められるものの、その南方延長は崖錐堆積物や地すべり土塊が分布するため不明である。米沢盆地西縁部における断層活動単位は、途中変位地形が認められない部分があるものの、この地域の地形を考えると川西町箕の輪〜米沢市遠山地区までの約15kmとするのが妥当であると考えられる。

また、黒川左岸(川西町上奥田〜大船上地区)の変位地形は、YM面に幅の広い撓曲が認められ、全体として西上がりのセンスを示す。米沢盆地西縁の断層群から分岐した断層とも考えることができるが、詳細は不明である。YM面に変位が認められる部分の延長は約4kmである。

同様に川西町逆沢から米沢市大代原付近まで、段丘面の標高の違いや、YL2面の撓曲など、不明瞭な変位地形が北北西−南南東方向で断続的に認められる。これも米沢盆地西縁部の断層群との関係は不明である。延長は約4kmである。