(2)地質構造

本トレンチで観察されるA層(粘土及び腐植質粘土を主体とする湿地性堆積物)の傾斜はほぼ水平であり、その分布域の北縁において下位のC層(砂礫層)上面にアバットする。

B層は、東面にのみ分布するが、連続性が悪くレンズ状を呈し、E5.6〜7.2m及びE9.8〜13.4mに存在する。本層の傾斜は、下位の砂礫層上面の形状と調和的であり、E9.8〜13.4mではほぼ水平であるが、E5.6〜7.2mでは見かけ17°南へ傾斜する。

C層において、基質の層相により細区分したE層〜H層の層境界は、凹凸がみられるものの概ね水平と考えられる。また、C層上面では、南へ傾斜する斜面が形成されている。即ち、E2〜7.2m及びW8.5〜11.5mでは、C層上面は南へ傾斜し、それ以南では、C層上面はほぼ水平となる。この斜面の位置は、圃場整備前の地形にあらわれる段差地形(低断層崖)の位置と一致する。また、上位A層の@層及びA層中に含まれる礫の量が、この斜面近傍で多く、斜面から離れるにつれて急激に減少する。このことから、@層及びA層中の礫は、上記斜面からの崩壊性堆積物と考えられる。