(6)山崎No.10(掘削深度27.0m)

〈層相記載〉

本孔は地表より深度0.85mまで耕作土からなる。深度0.85〜3.55mは、礫混じり粘土からなる。礫は地山の泥岩亜角礫からなり、深度2.0〜2.12mは基質の粘土が弱腐植となる。深度3.55〜3.90mは、礫層を主体とする。細礫サイズの泥岩亜角〜亜円礫が密集する。深度3.90〜5.51mは腐植質粘土からなる。腐植度は弱〜中で、材や細礫が点在する。深度5.28〜5.51mにて地層が30°傾斜する。深度5.51〜10.70mは主に粘土〜礫混じり粘土からなる。粘土は灰〜灰褐色を呈し、深度5.73〜5.78m間は腐植質となる。礫の混入量は非常に少なく、礫種は、砂岩・デイサイト・酸性火山岩などである。深度10.70〜11.48mは、腐植質粘土(中腐植)からなる。深度11.48〜13.46mは、灰褐色の粘土を主体とし、腐植質粘土薄層を1枚挟在する。深度13.46〜13.68mは、腐植質粘土からなる。深度13.68〜13.93mは、灰白色のガラス質火山灰からなる。深度13.93〜14.58mは、腐植質粘土〜シルトからなり材や砂粒を含む。深度14.58〜17.83mは、礫混じり粗砂を主体とする。含まれる礫は、デイサイト・花崗岩の細〜中礫を主体とする。16.89〜16.91mは粘土薄層からなり、20°傾斜する。深度17.83〜19.95mは、腐植質粘土を主体とする。腐植度は全体に弱く、材や細礫を多く混入する。深度19.95〜20.95mは、褐〜暗褐色の礫混じり粘土からなり、材を混入する。深度20.95〜21.17mは、灰白色のガラス質細粒火山灰からなる。深度21.17〜22.62mは、褐〜暗褐色の礫混じり粘土からなり、材を混入する。深度22.62〜23.16mは、砂礫からなり、細礫サイズの酸性火山岩・安山岩・軽石を含む。深度23.16〜23.35mは、粘土からなり腐植分をラミナ状に挟む。深度23.35〜27.0mは砂礫からなる。中礫サイズが主体で、礫種は安山岩>デイサイト>酸性火山岩などである。

14C年代値〉

本孔の深度3.9〜4.0mの腐植質粘土より5,500±100y.B.P、深度4.8〜4.9mの腐植質粘土より5,880±60y.B.P、深度5.3〜5.4mの礫混じり腐植質粘土より6,830±60y.B.P、深度11.0〜11.1mの腐植質粘土より45,458±811y.B.P、の14C年代値が得られた。

(テフラ)

山崎bP0−2(深度20.95〜21.17m)、山崎bP0−1(深度13.68〜13.93m)の2点について、テフラ組成分析と屈折率測定を試みた。山崎bP0−2に含まれる火山ガラス(n)の屈折率は、1.495−1.498(mode:1.497)である。また、山崎bP0−1に含まれる火山ガラス(n)と角閃石(n2)の屈折率は、各々1.508−1.511(modal range:1.509−1.511)と1.685−1.688である。

山崎bP0−2に含まれるテフラは、火山ガラスの比率が非常に高いことから、一次堆積層の可能性が考えられる。このテフラについては、含まれる火山ガラスの形態や屈折率などから、約9.5〜11万年前に三瓶火山から噴出した三瓶木次テフラ(SK)に同定される可能性が考えられる。

また、山崎bP0−1に含まれるテフラについても、火山ガラスの比率が非常に高いことから、一次堆積層の可能性が考えられる。このテフラについては、含まれる火山ガラスの形態や屈折率などから、約8.4〜8.9万年前に九州の阿蘇カルデラから噴出した阿蘇4火山灰(Aso−4)の可能性が考えられる。