3−3−1 調査仕様及び数量決定の経緯

本地区は以下の手順で調査を実施した。調査位置平面図を図3−3−1に示す。

@ボーリング掘削・試料採取

A観察・記載

Bトレンチ掘削

C観察・スケッチ・記載(トレンチ調査とボーリングは一部並行して行われた)

D年代測定

E解析

本地区では昨年度の調査で推定されていた2つの断層、fa・b断層及びfc断層の状況を把握するためにトレンチ調査とボーリング調査を行った。

fa・b断層については、その予想箇所においてトレンチを掘削した。トレンチ位置は同断層認定の根拠となったNo.2ボーリング地点の直近とし、かつ重機(0.7m3級バックホー)の操作に差し支えのない範囲で山側に寄せた。平野側へは現地形における段差部をまたぐ位置まで掘削した。トレンチ深度はNo.2ボーリングで確認された基盤の泥岩を観察するために5mとした。壁面の傾斜は当初60°の一段掘りで掘削したが、掘削10日目に強い降雨があり北側壁面の平野側半分が小崩壊を起こしたため、この箇所に幅1mの小段を設けて掘削をやり直した。

fc断層については10〜27m級合計7本の群列ボーリングを行った。平成10年度の分をあわせるとfc断層に対して9本のボーリングを掘削した。ボーリング位置及び深度の決定に際しては、平成10年度の推定断面を参考にし、礫層が上位の細粒物質にのし上げるような断層が地表付近まで到達していると推定されていたことから、この断層面を確認するべく山側より順次調査を進めていき、基準となる礫層(後述のyaX層)を確認する深度まで掘削した(ただし山崎No.11は完新統の構造確認を目的としたため深度10mとした)。ボーリング孔番は掘削順につけてある。結果的には平成10年度調査で推定したような地質構造とは異なり撓曲による幅の広い変形であったことから、平野側へ向かって密な群列ボーリングが必要となった。