2−3−2 大石田町横山地区の調査方針

大石田町横山地区は山形盆地断層帯の北端部に位置する。この地区では空中写真判読によって従来報告のない位置に低断層崖が観察され、地質踏査では断層の想定される位置の西側に地層の急傾斜が確認された。

山形盆地の北部(村山−大石田付近)では断層による地形変形が明瞭であり断層の連続は比較的良く観察できるが、この地域では、断層は複数の活断層線として雁行・並列しており一部では断層変位が更新世後期の活褶曲となっている部分もあるため、これらすべてに対してトレンチ調査を実施し、各断層の最終活動時期や活動間隔を明らかにする作業は非常に困難である。この中で大石田町横山地区は活断層線の分布からみて断層が収斂した状態にあると予想され、活動時期を特定するには好条件と判断し、調査地として選定した。

横山地区の場合、断層による変位と判断される低断層崖は2条並列しており、これらを横断する2箇所での調査が必要となる。このうち平野側の低断層崖については変形幅がやや広いため、トレンチ場所を絞り込むためには事前に物理探査の実施が必要と判断した。幅数10m規模の変形帯の、深度30〜50m付近までの地質構造を把握するための物理探査手法として、極浅層反射法探査を採用することとした。振源はS波を用い起振点及び受振点間隔を密にとることによって分解能を高めることとした。

ボーリング調査は、トレンチ実施位置を最終的に絞り込むことを目的として計画した。調査深度は、完新世の堆積物を対象とすることから1箇所当り10m前後を目安とした。

トレンチ調査は2箇所の低断層崖それぞれについて実施することとした。2箇所で行うこととしたのは、低断層崖の形成が1度の活動によって並列して発生したか、あるいは異なる活動によって形成されたかを確認するためである。

また、この地域では鮮新世〜更新世の地層の急傾斜や逆転などが確認され、下部構造については明らかにされるところが多いが、更新世後期の断層活動についての情報が不足しており、これらを対象とした踏査(精査)と段丘面の高度分布を主体とした測量を実施することとした。

調査地点を図2−3−3に示した(基図は平成9年度作成のストリップマップを用いた)。