2−2−1 既存調査結果の概要

新庄盆地では、複数の活断層が南北方向に連続・並行している。これらの活断層の延長距離は10km程度と比較的短いものとなっているが、この地域は山形盆地の北側延長にあたるため、その活動履歴や地質構造の連続性を確認する必要がある。

新庄盆地の空中写真判読では、活断層線の分布は従来の報告と大きな差はみられないが、鮭川断層では明瞭な断層崖として認識できる部分が少なく、多くは段丘面の逆傾斜、傾斜変換点の連続、あるいは撓曲崖として断層活動が現れている可能性が高い。盆地中央部を南北に連続する長者原断層の位置は北部区間においては従来の報告と同様であるが、従来南東方向に連続するとされている南部では、ほぼ南北走向と判読された。また、この断層が最上川本流を横断する舟形町堀内地域では段丘面の発達が良く、変位の累積が観察されると同時に、この延長上に分布する完新世の地形面に変位が起こっている可能性がある。

新庄盆地断層帯における地形地質踏査では、鮭川断層において低位段丘堆積物を切る断層露頭が確認され、断層西側で最大500mの幅で下位の地層の急傾斜が確認された。また、長者原断層では更新世の地層に急傾斜が確認され、最も南部では鮮新世の地層中に東上がり・東傾斜の逆断層が確認された。この点で従来の報告を変更すべきと判断されるが、他については大きな変更は見られない。

また、地形断面測量により、長者原断層の変形幅が最大400mに達する可能性が推定され、平坦部の変位量が約19mとされた。