5−7−1 ボーリング調査

平成10年度に実施したトレンチ@地点の調査によって最終活動時期が特定された断層上盤側においてボーリング調査を実施する。この地点ではトレンチ調査およびこれに先行するボーリング調査によって約10,000年前の地層,約14,000年前の地層,約17,000年前の地層が確認され、これらの地層の連続と分布高度が明らかにされている。これらはいずれも断層下盤に位置すると考えられるため、断層上盤側の時間面とその高度ならびに傾斜から10,000年もしくは17,000以降の総変位量を求めることが可能となり、ここから極めて精度の高い平均変位速度を求めることができる。この際、掘削深度は20m、1箇所,10m、1箇所とする。

さらに、トレンチB−2),B−3)地点の調査では、約10,000年前の地層が大きく変形し約10,000〜9,000年前に断層活動による地層変形が起った可能性が認められた。この変形の時期を特定するためにトレンチB−3)の前面に複数のボーリング調査(2地点,10m,10m)ならびに極浅層(3〜5m)のコア採取を行い、層相から傾斜した地層とこれを覆う水平層を区分し、得られた試料の年代値から約10,000〜9,000年前の断層活動の存在を検討する。またトレンチB−2)付近において地層観察ピットを掘削し、地層変形形態の異なる地層の分布と年代を明らかにすることによって約10,000年前の地層が急傾斜した断層活動が単一か複数回であるかを検討する。

仮に、10,000前以降の総変位量,活動回数を限定することが可能であるならば、これから、平均的な1回の断層運動の単位変位量(垂直成分)を推測することが可能となり、断層活動に伴って発生する地震規模も計算上求めることが可能となる。