3−5−5 調査結果

山辺町大寺地区で実施した地形地質精査,ボーリング調査,トレンチ調査,年代測定結果から、山形盆地断層帯のうち盆地南部の区間で活動時期、単位変位量、活動間隔、平均変位速度について以下の結果を得た。

最終活動時期は現在知り得る範囲で、トレンチ@におけるB2層(3,890±50y.B.P.)とB3層(4,400±60y.B.P.)の間に起った可能性が高い。これはトレンチAにおいてB2層(8,700±100y.B.P.〜10,080±40y.B.P.)とC1層(2,500±40y.B.P.)の間に想定されるイベントもこの範囲内である。トレンチB−1)に見られるB層の年代から約2,500年前以降に断層活動があった可能性は低く、トレンチ@で求められた断層活動がこの地域における最終活動と考えられる。

単位変位量もしくは変位量は、トレンチ@では面沿いのずれ量は数10cmであるが、トレンチAではC1層の高度差から1万年前以降の変位量が2m以上,トレンチB−2)のB2層とトレンチB−3)のC1層もしくはC3層の高度差から1万年前以降の変位量が3m以上であることが明らかとなった。

活動間隔は単一のトレンチでは明らかにすることができないが、トレンチB−3)においてC1層(9,210±50y.B.P.)に見られる傾斜がB3層(9,180±40y.B.P.)には確認されないことから、この間に断層活動が起った可能性が考えられる。

平均変位量には上盤側の段丘面形成年代に仮定条件が含まれるために、不確定なものであるが、約17,000年前の地層の高度差から判断して、従来考えられてきた平均変位速度よりも大きな活動度を示す可能性が考えられる。