(3)No.3(20m)

No.3は断層想定位置の下盤側でもっとも断層よりの地点である。この地点では当初計画では深度10mの掘削を予定していたが、No.1孔において基盤岩の出現がなかったこと、地層の繰り返しによる断層面の確定がなされなかったことなどから下盤側においてもNo.1孔と同じ深度(20m)を掘削し、地層の対比を行うことで同一層の高度差などから断層の位置、変形の量を検討した。

<地層記載>

No.3では表層から0.80mまでが耕作土となっており0.80〜1.83mに黒色の厚い腐植土層が見られる。1.83〜2.53mは砂もしくは砂礫層であるが、2.53〜10.60mの間は腐植質シルト,砂混じりシルト,礫混じりシルト,砂礫,細〜粗粒粒などの不規則な互層となっている。このうち深度2.73〜2.95m,3.60〜4.05m,4.85〜5.00m,6.50〜6.80m,8.54〜8.60mには明瞭な黒色腐植層が確認される。他の部分でも細粒砂やラミナの発達する部分では炭化物片が含まれることが多い。

深度10.60〜13.30mは比較的淘汰のよい中粒〜細粒砂層となってお一部にはラミナの発達も見られる。深度11.42〜11.75m,12.42〜12.60mは礫混じりの粗粒砂となっている。上部の砂礫層中には木片が含まれる。最下部には腐植質シルトが見られる。深度13.30〜14.66mは淘汰のよい粗粒砂があり砂層の中央部に木片が多量に含まれる。

深度14.66〜20.00mには黒色腐植層,腐植質シルト,礫混じりシルト,礫混じり中〜細粒砂などの不規則な互層が連続している。このうち15.31〜15.60m,16.50〜16.55m,16.78〜17.35m,18.23〜18.40m,19.63〜19.73mには明瞭な黒色腐植土が見られる。得に16.78〜17.10mの腐植層には多量の木片が含まれる。

No.3孔ではNo.1孔との時代面対比を行い同一地層の高度差を求めるために4層順の年代測定を行った。この結果深度2.80m付近の腐植層から9,500±80y.B.P.の年代値が得られ、深度7.65mの腐植層から10,760±70y.B.P.の年代値が得られた。深度13.80m付近の腐植層からは13,720±140y.B.P.の年代値が得られ、礫層の直上にあたる深度16.85mの腐植層からは17,160±90y.B.P.の年代値が得られた。