(1)No.1(20m)

No.1孔は南北に連続する崖地形の中段に配置し、断層上盤から掘削し地層の繰り返しもしくは基盤岩下位の堆積物確認による断層位置の絞り込みを目的として実施した。このため深度は20mとし、この間に基盤岩に到達しない場合にはより東側のボーリング柱状との年代測定などによる同地面の対比によって断層位置あるいは最も変形の大きな地点を明らかにすることを目的とした。

<地層記載>

No.1では表層に厚さ15cmの耕作土があり、この直下深度0.73mまでに礫混じりシルトが見られあた。しかし、この下位には耕作による攪乱を受けたと考えられる黒褐色の土壌層が観察されたため深度1.12mまでは耕作土・盛土・旧耕作土であると判断した。

深度1.12〜6.53mまでは最大径が13cmを超える礫層となっている。この礫層はマトリックスも粗粒砂で淘汰が良くない。礫種は多岐にわたり新鮮な安山岩を多く含むことから主たる供給河川はこの地域の東側を流れる須川であると考えられる。礫層中には比較的淘汰のよい粗粒砂層が見られ、下部にはマトリックスに炭化物が含まれる。

深度6.53〜10.05m間は比較的細粒となっている。主体は細〜粗粒砂だが6.53〜6.72m,8.76〜9.37mには細礫混じりの黒色腐植層が見られる。砂層が細粒となる部分ではラミナの発達も見られる。深度10.05〜10.90mは5cm以上の礫径を持つ砂礫層となっている。

深度10.90〜12.00mは細粒砂・シルトの互層で12.00〜12.70までは礫混じり細砂層〜粗粒砂層となっている。12.70〜15.77mは腐植質な地層となっており上部の黒色腐植層はやや砂質部もあるが多量の木片を含んでおり下部の腐植層は炭化物と腐植質シルト・砂との互層状で下部70cmは1本の流木が炭化したものである。この互層状の腐植層ではラミナが20〜60°の傾斜を示すことが観察された。

深度15.77以下は20.00mまで比較的淘汰の良い粗粒砂層と腐植質シルト・細粒砂互層が繰り返し堆積している。腐植質シルトの部分にはラミナの発達が見られ砂層部分には細礫が点在する。

No.1孔では時代面対比を行い同一地層の高度差を求めるために3層順の年代測定を行った。この結果深度6.55m付近の腐植層から10,700±150y.B.P.の年代値が得られ、深度8.80mの腐植層から9,940±100y.B.P.の年代値が得られた。深度15.40m付近の木片からは14,150±70y.B.P.の年代値が得られた。