(3)No.3(50m)

No.3孔は断層面が地表付近に到達した場合には下盤となる可能性が高く、山地の前縁部に見られる沖積低地の傾斜変換部のなかで実施した。これは、仮に断層が地表まで到達していた場合でも、断層活動による変位は断層面沿いのずれ量だけではなく地層の変形に大きく反映している可能性が考えられるためである。従ってこの地点の調査深度はある程度おおきなものとしなければならず計画当初は40mの掘削深度を予定した。しかし、No.2孔において深度20mまでにその地点での調査目的を到達し得たのでこの地点の調査深度はNo.4孔と同じ50mとした。

<地層記載>

No.3孔では表層から深度0.59mまでは盛土・耕作土となっている。この下位には1.08mまで腐植質シルトとなっているが攪乱された形跡もあり旧耕作土の可能性も考えられる。深度1.08〜3.06mの間には弱腐植質の青灰色砂質シルトが見られる。このうち深度1.40m付近にはやや腐植度の強いシルトがみられ、深度3.06〜3.16mには細礫を混じりの腐植層が確認された。

深度3.16〜4.15mは青灰色の細礫混じり砂質シルトとなっており、深度3.55〜3.63mには礫混じり腐植質シルトが見られる。深度4.15〜4.89mの間は青灰色砂質シルトとなっているが、この部分には炭化物や腐植質層は見られず全体に塊状のシルト層となっている。

深度4.89〜5.27mには比較的礫径の大きな円礫がみられ、この下位には青灰色のシルトとシルト混じりの細粒砂が見られる。深度6.32〜6.40mにはマトリックスの流出した礫粗が見られる。深度6.40〜7.96mは腐植質シルトとなっており、7.00〜7.40m付近には礫が含まれる。深度7.96〜8.25mには円礫が確認されるがマトリックスが流出しているため礫層の性状は明確ではない。

深度8.25〜8.83mは青灰色のシルト,8.83〜9.66mは砂質シルトで上部に礫を含む。深度9.66〜10.42mは青灰色シルト,この下位11.78mまでは細粒砂で基底に礫が含まれる。

深度11.78〜16.28mの間は礫もしくは礫混じり中〜粗粒砂となっており礫径は比較的大きく火山岩・チャート・泥岩などの礫種によって構成されている。礫は円磨されたものが多く砂も比較的淘汰が良い。

深度16.28〜20.25mには褐色シルト層が連続する、このシルト層には部分的に腐植物や細礫が混じるが全体的にはほぼ塊状となっている。深度20.25〜21.38mは細礫混じりの砂質シルト,21.38〜22.36mは青灰色シルト,22.36〜23.02mは腐植質褐色シルトとなっている。深度23.02〜24.25mは細礫混じりの砂質シルトと青灰色シルトが見られる。

深度24.25〜50.00mは砂礫もしくは礫混じり砂層となっている。深度29.32〜29.79m,33.55〜35.00m,37.00〜37.20m,48.08〜48.22mは中粒〜粗粒砂となっており、深度44.40〜44.50mと46.00〜46.41mにシルト層が挟まれる。砂礫層は淘汰が悪いが礫のほとんどは円磨され、安山岩などの火山岩類や泥岩,砂岩や珪質岩などの礫種によって構成されている。

No.3孔ではNo.2孔との時代面の高度差を明らかにするため3箇所の年代測定を行ったその結果深度3.1m付近の腐植層から6,500±130y.B.P.の年代値が得られ、深度6.5mに見られる腐植層から39,760±960y.B.P.,深度22.6mに見られる腐植層から33,270±1,030y.B.P.の年代値が得られた。