3−2−4 データ処理解析

現地における測定によって取得された探査データは図3−2−6に示した反射法探査データ解析の流れに従って処理・解析を行った。以下にその概略を述べる。

1)データ品質チェック・CDPデータ編集

ノイズの除去、不良データの除去等の品質チェックを行い、測量データを用いて反射点(CDP:発震点と受振点の中点)の分布図を作成し、この分布をもとにこれらを通る滑らかな重合測線を実際の測線沿いに設定した。

2)屈折初動解析

全測定記録の初動走時を読み取り、これを用いたトモグラフィー解析により表層構造を求めた。

3)プレフィルタ・ゲインリカバリ・デコンボリューション

重合前の基本的な処理は、極低周波数および極周波数のノイズ除去のためのプレフィルタとして、最小位相型ハンドパスフィルタ(パスバンド:20〜12 5HZ)を適用した。

深部反射波の振幅回復のためゲインリカバリとして、統計的に求めた振幅特性をを補正した後ゲート長150msecの自動振幅補正を適用した。発震点・受震点の固有の特性を均一化すると同時に分解能を向上させるためのデコンボリューションを適用した。

4)静補正

2)の屈折初動解析の結果得られた表層速度構造分布を用いて、低速度の表層を通過する反射波走時の不均一性を補正し、浅部から深部の反射波の走時に対して表層の影響を補正し重合効果を高めるために静補正を行った。同時に地表地形(標高)の補正(基準面補正)も行った。この時用いた補正速度は1650m/secである。結果として重合断面図や深度断面図は水平な基準面からの反射走時や深度となっている。

5)速度解析・NMO補正・重合

定速度重合法に基づく速度解析を実施した。重合測線上の平均150m間隔で速度解析を実施し、得られた速度を用いてNMO補正・重合を行った。

6)フィルタ処理

重合およびバンドパスフィルタ適用後、ランダムノイズを抑制するための2次元フィルタを適用し重合断面図を作成した。

7)マイグレーション処理

傾斜した反射面や断層の存在に対して、重合断面図は近似値な構造形態を示すためマイグレーション処理によって、より正確な地下構造形態(傾斜した反射面の位置等)を得ることができるため差分法によるマイグレーション処理を行った。

8)速度変換

マイグレーション断面図から速度情報を用いて深度変換を行い深度断面図を作成した。