3−1−3 調査結果

ボーリング調査,コア観察による地層対比および年代測定の結果から各孔に出現する層厚3〜4mの砂礫層およびこの直下の礫混じり砂層はほぼ連続した砂礫層であると判断される。ここでNo.1孔とNo.4孔における砂礫層の出現深度の高度差は約30mに達している。また、砂礫層の上面には広範囲に堆積したと考えられる腐植層が見られる。この礫層の上面はほぼ水平に堆積したものであると考えられる。このことから、No.1孔とNo.4孔の高度差は、砂礫層堆積後の変形によってもたらされたと考えられる(図3−1−3)。

ここで見られる変形(礫層の高度差)はNo.1孔とNo.2の間で最も急傾斜となっている。また、この礫層の上位に位置する約5,000〜7,000年前のシルト層は腐植層を挟み堆積時の水平を支持する。この地層の基底もNo.1孔とNo.2もしくはの間で最も急傾斜となっている。このシルト層と下位の礫層との間には大きな時間間隙が認められ、斜交層順が存在すると考えられるが、シルト層の傾斜は礫層の傾斜より緩やかなものとなっており、この間には地層変形の履歴の差が考えられる。シルト層の上面と基底面でも同様な傾斜の差が認められることから、この地層堆積中もしくは堆積直前に地層の変形運動が起った可能性が考えられる。

約5,000〜6,000年前に堆積した地層と、上位に位置する約3,000年前の地層の傾斜には、No.1孔〜No.3孔にかけて明瞭な傾斜の差が読み取れる。これらの地層が堆積時において水平であったことを支持でき得るとするならば、この間の層順にも断層もしくは撓曲による地層変形の履歴の差があり得る。