8−6−6 山形市村木沢地区

山形市村木沢では、断層崖と考えられる複数のリニアメントが並列していることが観察されている。地表踏査では、このうちの最も東側(最前縁部)に段丘堆積物を切る断層露頭が確認され、これらの地形は活断層によって形成された可能性が高いことが明らかとなった。

しかし、並列するリニアメントが全て活断層に由来するかは確定的ではなく、また前縁部の断層がこの地域の断層活動を代表する可能性についても調査の必要がある。これは、大寺地区で行うトレンチ調査によって断層活動に関する理想的な情報が得られた場合でも、断層が複数・並列して地表まで到達している可能性がある場合、前縁部のリニアメントとより山際のものとを、累積変位の大きさや最終活動の時期を比較検討する必要が生じる。

この問題を検討するためには、地下構造を連続して捕らえ断層が複数存在するか、もしくは、地下で収斂するかを確認し、個々の断層が示す累積変位の比較をおこなう必要がある。このことは、活断層調査においてもっとも重要な検討事項である断層活動の再来性(活断層の評価)に大きな意味をもつため、反射法弾性波探査による地下構造把握は重要な意味を持つ。

この調査目的とは別に、山形盆地西部では平成9年に小規模地震の発生があり、この震源の深さが約10km程度であり、震源域も県立農業試験場周辺に集中しており、リニアメントの西方1.5〜2.0kmにあたっている。この地震発生が直接活断層と関連するかは地表踏査あるいはボーリング・トレンチ調査によっては明らかににすることはできない。

このため、表層部の断層による変位量(主に第四紀層の層厚変化)を確認すると同時に、地下数km深度の地下構造を把握するために実施を計画した探査測線が、図8−2−12の探査測線(B案)である。探査深度を数kmとする場合には、解析および地層対比を充分におこなうためには5km以上(計画図では5.5km)の測定が必要になると考えられる。

活断層の評価のみを調査目的とし、直接小規模地震との関連を探査対象としない場合には、探査深度を約2kmとし、測線長は図示した(A案=約5km)とすることができ、探査目的をより限定すれば短縮も可能である。