8−6−1 酒田市北境地区

酒田市北境では、鈴木,他(1989)によってトレンチ調査が行われ、この結果から約2,500年前の地層を切る活断層の存在が指摘された。この地域は、庄内平野東縁断層帯のうち北部の区間が連続しているとされる地域である。本年度調査で実施した浅層反射法弾性波探査によって、この位置が第四紀の堆積物である庄内層群を大きく変形させていることが明らかとなった。

この地層の変形が更新世後期にも連続して起っている可能性は高い。また、この丘陵と沖積低地の境界付近では、沖積段丘もしくは沖積低地自体に南北に連続する傾斜帯の存在が指摘されている。

このことから、この地域では断層の更新世後期から完新世にかけての活動が堆積物の高度差や傾斜の累積として現れている可能性が高い。これらを詳細に把握することによって、この地域の断層活動がどのような形態をもち過去の地震や断層活動を明らかにできる可能性がある。そこで、この地区ではトレンチ調査の実施以前に詳細なボーリング調査および年代測定による地層対比を行うことを計画した。この地点で想定される地質断面を図8−6−1に示し、同様の手法によって断層イベントを検討した鈴木、他(1994)の報告を図8−6−2に示した。