7−1−1 庄内平野東縁断層帯

庄内平野東縁の断層帯の断層位置は、従来の報告・文献の示すものと大きな差は確認できない。ただし、原地形を残す米軍撮影の空中写真から判読されたものでは、従来記述のなかった丘陵と平野の境界付近に傾斜変換部(撓曲)が認められた。このため、この地域の断層崖および変位地形は単一の線で現わされるリニアメントではなく、極めて接近した複数のリニアメント(活断層および推定活断層)として図示した。

この丘陵地と平野の境界における更新世の地層変形および地形の傾斜は、浅層反射法弾性波探査の結果からも支持されるものである。この探査結果からは、従来観音寺断層と呼ばれている庄内平野東縁断層の北部区間の最前縁部が、基盤から連続する断層ではなく新第三紀の地層が西側へ押し出されることによって第四紀層である庄内層群におおきな撓曲が生じ、この中に東傾斜の逆断層が形成された可能性があることが示された。

これに対して、松山断層と呼ばれる断層系南部地域では、澤,他(1997)によっても断層が確認されており、今回の調査結果としても従来示されているリニアメントとほぼ同様の区間に断層が想定される。また、最上川以南の地域にも更新世後期の地層を切る断層が確認された。この区間では、沖積段丘や崖錐堆積物の分布域に低崖や傾斜変換部が見られることから、北部の断層との連続も考慮すべきである。