(3)新庄市升形−鮭川村地域

断層が想定される位置の西側には、鮮新世の鮭川層・毒沢層が直立もしくは急傾斜を示す部分が幅500m〜1kmで連続している(図5−3−8写真5−3−3)。この急傾斜帯と断層の関係を見ると、升形地区のように古い段丘面が分布している地域では、段丘の変位量および撓曲帯の幅は大きく、鮮新世の地層が示す急傾斜帯の前面に更新世後期の断層活動もしくは撓曲帯が想定される。

これに対して、低位段丘T〜V面が分布する鮭川村佐渡地区や庭月地区では急傾斜帯とリニアメントが接近する位置にある。地表踏査では、このリニアメント上で想定される断層活動を反映した断層露頭は確認されなかった。しかし、鮭川村庭月のJKA161では低位段丘T面の堆積物を切る東傾斜・東上がりの低角逆断層が確認された(写真5−3−2図5−3−10)。この断層は地形的連続は明瞭ではなく露頭観察からも複数のイベントを読み取ることができないため、派生断層の可能性は高い。しかし、この地域における構造運動や断層活動の活動様式を反映している可能性は高い。