(4)中山町−山辺町地域

この地域では北部では沖積低地が広く盆地の中央を流れる須川までの間に約5kmの幅がある。この低地と山地境界付近には低位段丘V面や崖錐が幅500m前後で分布している。より南部では低位段丘U面も出現するようになる。山辺町には低位段丘T面が孤立丘となっている。山辺町以南では低位段丘U,Vが扇状地として広がっており、須川の流路付近まで分布している。この地域では、各段丘面の比高が小さくなっている。

この地域で見られるリニアメントは中山町土橋から金沢にかけてに低位段丘VからUにかけて連続するもの(YL−18)、金沢から山辺町大寺にかけて低位段丘V面の低崖と低位段丘U面に見られる急傾斜帯〜低崖によって認識されるもの(YL−19)。大寺の山際から西ノ表に雁行状の低崖として認識されるもの(YL−20)。山辺市街地南側に低位段丘U面に連続するもの(YL−21)とこの南西側要害地区の低位段丘U面に雁行状に分布するもの(YL−22)である。

これらのリニアメントのうち金沢から大寺にかけて分布するものは、明瞭な低崖をもち断層活動の累積変位も低位段丘U,V面の間では読み取れる。土橋−金沢間のリニアメントにも累積変位が読み取れるが、いずれも連続性が不明瞭で低位段丘T面以上の活動性を明らかにすることができない。このため、本調査ではこのリニアメントについてBランクとして表示した。

山辺町西ノ表付近や市街地南部のリニアメント、あるいは要害地区のリニアメントは、低位段丘U面のみに低崖がみられ、より下位の段丘面には明瞭な崖地形や傾斜変換点が観察されない。このことから、これらのリニアメントはBランクとした。