(1)反射法地震探査の原理

反射法地震探査とは,異なる弾性波速度(P波・S波速度)を持つ2つの地層の境界では,上方から入射した弾性波の1部が反射して地表に戻ってくる性質を利用して,地盤の地質構造を求める調査方法である.

図3−2−2に示すように,震源(↓)の近傍に地震計(□)を置き起震すると,発生した弾性波は各地層境界で反射して,地表に戻ってきて地震計に記録される.図3−2−2のように,起震点・受震点を少しづつ移動しながらこの観測を繰り返すと,図3−2−3に示すような反射記録が得られる.

反射波は,地層境界の深さと各地層の弾性波速度で定まる時間遅れで地表に置いた地震計に戻るため,記録を並べると地層形状を再現することが出来る.図3−2−4の反射記録は,弾性波の各地層境界までの往復時間(往復走時と呼ぶ)を縦軸にして示しているが(時間断面;time section と呼ぶ),各地層の弾性波速度がわかれば,縦軸を深度にした断面図を作ることが出来る(深度断面;depth section と呼ばれる).

反射波を表示する際の位相は通常は図3−2−5に示すように,低速度層から高速度層に波が入射する際に発生する反射波を右に立ち上がるように描き,黒く塗りつぶして示す.

反射波の振幅は,速度差が大きい境界面ほど大きくなり,また使用できる波の周波数により地層の分解能も異なる.この様子を図3−2−5図3−2−6に示す.