(7)中央構造線断層帯の活動区について

中央構造線活断層系のような長さ数100kmを越すような長大な断層では,全区間が同時に動くのではなく,いくつかの分割された区間(セグメント)が個別に活動すると考えられている(岡田,1992,1993).

中央構造線活断層系のセグメントについては,松田(1975)は,中央構造線活断層系の平均変位速度,歴史時代の地震の検討などから地震規模と発生間隔の概略的な予測をおこなっている.

松田(1990)は日本列島陸域の活断層をそれぞれ独立に地震を起こす「起震断層」に再編成した.その際,活断層を一度に大地震を発生する「一括放出型」といくつかの分割された区分に分けられた相対的に小さな地震を発生する「分割放出型」とに区分した.この区分には歴史時代に発生した地震の際に変位を起こした記録のある断層(地震断層)を主に取り扱っているが,そのような地震記録のない活断層については論究していない.また,中央構造線のような特別に長い断層を「特定断層」と呼び,分割放出型として考慮している.得られた起震断層の長さから最大地震規模を求めている.近畿地方の中央構造線和泉−金剛断層帯を起震断層として長さ75km,その西方の中央構造線淡路島南縁断層帯を長さ45kmとしている.

岡田(1992,1993)は,中央構造線活断層系は全体として直線状に延び,地形的に明瞭に連続するが,所々に間隙,ステップ,屈曲部,分岐部などの不連続部がある.この分岐の内,とくに明瞭な横「し」の字状をなす構造については重視し,上記の特徴に加えて,地区毎の走向,変位速度,最新活動時期,活動間隔,地震との関係など中央構造線活断層系の諸性質を再検討して8セグメントと1つの不活発区域に分けた.活動的セグメントはさらに2,3に細分される部分である.

中央構造線活断層系のセグメント区分の内,検討箇所の和泉山脈南麓とその西方の淡路島南部,さらには四国北東部の一部については,次のように記載している.