(1)地質断面

標高0m付近から上部には砂質シルト〜粘土層が,標高0m付近から−2.0m付近までの下部には礫混じり砂〜砂礫層が分布している.砂質シルト〜粘土層の基底面の一部は共同溝南端で20〜30゚南に急斜するが,全体として両層は緩く南に傾き,軽微な侵食面で接する.

地表から上部砂質シルト〜粘土層までの地層は掘削で削り取られている.砂質シルト〜粘土層は厚さ1m程度が観察された.色調は青灰〜緑灰色で,均質である.南側ではその下位に木片や腐植を多く含む.図1−3−8中のW9〜W5にかけて,厚さ10cm程度以下の砂層を挟む.砂層はほぼ水平に分布するが,層厚の変化が著しく,形状も層状を呈する部分の他,レンズ状の部分もある.この一部で砂層は下位の砂層に繋がり,さらに上方に延びて,幅数cm規模の小さな噴砂をなす.おそらく,本層の堆積中と堆積後の2回の地震動により噴砂が起こったと想定される.規模が小さいことから,本断層帯に起因した現象でないと判断される.遠地,とくに南海トラフ沿いで発生した大規模地震の可能性が高いが,詳細は不明である.

下部の1.5m程度以上の厚さを示す地層は,下位の砂礫と中位の礫混じり中砂,上位の礫混じり粗砂に3区分される.南端では,ほぼ水平な葉理を切って,南にやや急斜する葉理が認められる.葉理に沿うように,上位の砂質シルト〜粘土層が堆積している.