(2)火山灰分析結果

試料から細かい砂分を抽出し,顕微鏡で1,000粒を観察して,火山ガラスを鑑定した.形状や屈折率の比較から既知の火山灰との対応で同定した.ここでは,南九州の鬼界カルデラから約6,500年前に噴出した鬼界−アカホヤ火山灰(K−Ah)の降灰層準が断層による変位や変形の有無を探るため,断層付近のボ−リングNo.2,3,4,5,8,13,14,15から延べ130試料を分析した.同火山灰起源の火山ガラスは各孔の各U層最下部ないしV層最上部から最大10〜数%程度産出した.U層〜V層境界に沿って,産出が両層にまたがっていることや濃集が低いことから,純層の状態で地層に挟在するのではなく,降灰層準に非常に近い時期に2次的に堆積したものと推定される.図1−3−4に各孔での高濃度の位置を示している.