(1)地形区分

調査地域の地形は大別すると丘陵、台地及び平地によって構成される。丘陵はさらに丘陵Tと丘陵Uに区分できる。

a.丘陵T

丘陵Tは調査地域東部に分布する、いわゆる二上山丘陵にあたり、その高度は最も高い頂部で標高274mである。丘陵Tの西部には、分水界をなす尾根が北西に開く弓形をなしてほぼ北東−南西方向に伸びている。標高は約240〜280mである。

これら丘陵Tを刻む谷の谷底を見ると、分水界の西側では谷底は幅広く急傾斜をなしており、埋積谷としての発達程度が小さいのに対して、東側では谷の奥まで緩傾斜の幅広い谷底が続き埋積谷としての発達が良い。

b.丘陵U

丘陵Uは丘陵Tの西側に接して分布する。分布高度は南西部で高く、北東部へ向かって次第に高度を減じ、丘陵Tとの接触部近傍の南方と北方に開く谷付近が最も低くなる。調査範囲の最も高い頂部は標高185mである。これらの谷の谷壁は比較的緩く、谷幅は広い。幅狭いカマボコ状の尾根が示す接峰面は丘陵の縁辺部に向かって緩やかに高度を減じる。また、丘陵Tの東部に比較すると、丘陵奥まで樹枝状に深く切り込んだ谷に沿って埋積谷が発達している。丘陵Tとは小竹付近で、東側急傾斜・西側緩傾斜の傾斜変換線で接している。

c.台地

台地は丘陵Tの南東縁及び北縁、丘陵Uの北縁に分布する。平坦な頂面を持ち、丘陵から岬状に張り出している。高度は丘陵と接する付近では標高およそ40mであるが、丘陵から離れるに従って標高およそ20mまで次第に高度を減じる。台地を刻み樹枝状に発達する埋積谷は、その大半が台地に源を有している。台地と丘陵T及びUとの接合部は後述するW面の旧汀線と見なされる傾斜変換線をなしている。

d.平地

平地は丘陵・台地の周辺及び丘陵・台地を刻む埋積谷底に分布する。高度は埋積谷の最奥部では標高およそ50mであるが、埋積谷の出口及び丘陵・台地との接触部分では標高10m前後を示す。海岸付近には北東−南西方向に連なる浜堤が分布する。丘陵とは斜面で、台地とは急崖で接する。