3−1−2 石油公団による物理探査およびボーリング調査結果

石油公団は、石油及び天然ガス鉱床探鉱の基礎資料を得ることを目的に、昭和57年〜58年度の2年間にかけて、砺波平野を中心に基礎物理探査「富山〜金沢地域」としてバイブロサイス反射法弾性波探査(砺波平野で5測線)を実施している。また、この結果を受け、昭和59年度に高岡市戸出(トイデ)地内において基礎試錐「富山」を実施している(図3−1−1)。

基礎試錐「富山」は高岡市戸出地内において3,020mのボーリングを掘進し、岩相上の特徴、および電気検層結果から埴生累層の下限を深度440mと推定している(図3−1−2)。

埴生累層の岩相上の特徴としては、「上部は未固結の砂礫が優勢で淡灰色〜灰色の軟質泥岩を挟在し、下部は灰色の凝灰質の軟質泥岩を主とし、未固結の砂岩を挟在する」としており、更新世以降の堆積物と推定している。埴生累層からの微化石の産出は皆無に近く、地質時代の決定に有効な化石は検出されていない。

電気検層結果においては、低塩分水の影響を受けたと考えられる高比抵抗ゾーンの基底深度が岩相上の埴生累層/氷見(ヒミ)累層の境界と一致している。

反射法弾性波探査結果では、埴生累層および一部氷見層付近まで盆状の堆積同時変形構造が認められる。この構造は東西断面(Line V−4:図3−1−3)で顕著に認められ、高岡市醍醐(ダイゴ)付近(CDP No.290付近)で一番深く、醍醐付近より西および東へ向かうにつれ浅くなる傾向が認められる。

また反射記録では、岩稲(イワイネ)累層〜黒瀬谷(クロセダニ)層〜東別所(ヒガシベッショ)層を切る明瞭な正断層が認められる。石油公団はこれらの探査結果を基に砺波平野下(高岡市戸出〜大門(ダイモン)町小泉間)に北東−南西走向、北西落ちの正断層を推定している(図3−1−1)。南北断面(Line V−A:図3−1−4)では高岡市西広上付近(CDP No.400付近)の浅い箇所まで断層が描かれており、一番浅いところでは埴生累層を切っているようにも思われる。

反射記録では、埴生累層には盆状の堆積同時変形構造(横方向の層厚変化)が認められるが、氷見層〜音川(オトガワ)層では横方向の層厚変化は認められず向斜構造となっている。これは、この変形が埴生累層が堆積し始める頃から継続して起こっていることを示唆しているものと考えられる。