富山県では、平成8年度から平成11年度まで呉羽山断層および砺波平野断層帯の調査を行った。
<砺波平野断層帯>(平成9年度〜平成11年度)
・砺波平野断層帯については、特に変位地形の明瞭な法林寺断層、高清水断層を中心に調査を行い、その活動性に関するいくつかの情報(表8.1)を得ることができた。
・法林寺断層については、地域防災の点から最も重要な最新活動時期について直接確認することはできなかったものの、活動状況をかなり明らかにすることができた。今回の調査データから次の活動がせまっている可能性が高いと評価されたことでもあり、この断層については最新活動時期の確認が残された重要な課題である。
・また、法林寺断層の北方延長についても不明な点が残された。これは、石動断層の評価にも関係する。
・高清水断層については、最新活動時期を判断したが、再来間隔、単位変位量などに関して十分な検討は行えなかった。また、その延長については、井波以北に延長している可能性が考えられた。これら残された課題は少なくない。
・石動断層については、空中写真の観察および地質踏査が行われたのみで、なお、不明な点が多い。同程度の延長で隣接した法林寺断層について、多くの点から明らかになったことから、石動断層についても具体的な活動状況を明らかにすることが望ましい。
<呉羽山断層>(平成8年度)
・呉羽山断層については、断層の実在、位置について確認し、平均変位速度、最新活動時期について多少の検討を行ったが、再来間隔についてのデータが得られず、このため、次の活動の危険性の評価ができなかった(表8.2)。
・また、断層の延長については、平成8年度の調査結果では9kmとしたが、その後、北方へ延長すると見られる未公開資料が得られており、海域で行われた音波探査結果も考え併せると、場合によっては大村海底谷の地形に沿った地点までの延長25km以上に達する可能性がある。
・地域防災の点では、これら呉羽山断層の不明点を明らかにすることが課題として残されている。
<その他の断層>
・富山県中部〜西部平野に近接した活断層については平成7年度実施してきた活断層調査でかなりのことが明らかになってきた。県東部に関しては、科学技術庁指定の主要98断層のうちの一つである黒菱山断層、および県南部の延長が長くかつ断層変位地形が明瞭な牛首断層などが未調査で残されている。