7 まとめ

<法林寺断層>

・最新活動時期は、6520〜4860年前(1950年基準、暦年補正値)と推定される。

(最新活動に関しては、直接的証拠はなく、その時期については安居西地区と岩木地区の調査結果から総合的に判断している。)

・平均的な再来間隔は、およそ5〜6千年程度と判断される。

・平均変位速度はネットスリップで0.9m/千年程度と見られる。その鉛直成分は 0.4m/千年前後と見られる。

・単位変位量は、平均変位速度と再来間隔から計算すると、総変位量で5m程度(鉛直成分で2m程度)となる。

・断層の延長は、変位地形が確認されている範囲だけで13kmである。ただし、北方の沖積地に伏在し、延長が延びる可能性もある。

・以上の調査結果から、法林寺断層は最新活動以降、平均的な再来間隔にほぼ相当する時間が経過していると見られる。従って次の活動時期が近付いている可能性がある断層として注目する必要がある。

 なお、活動範囲は香城寺付近を南端とし、興法寺付近を北端とする13kmに加えて、北方の沖積平野に及ぶ可能性がある。

<高清水断層>

・最新活動時期は、4,205〜3,678年前(1950年基準、暦年補正値)と判断される。

・再来間隔については、判断できない。

(井波市街の測量結果より得た平均変位速度0.3m/千年(鉛直成分)、単位変位量1.5m(鉛直成分)から推定すると、断層活動の再来間隔は5千年と算出される。)

・平均変位速度(ネットスリップ)については、0.4m/千年前後と判断される。

(東城寺トレンチから得た変位量、水平短縮量より計算)

・単位変位量については、判断できない。

(井波市街の低位段丘V面の測量結果で得られた段差1.5mがここにおける単位変位量(鉛直成分)である可能性がある。)

・断層の延長については、大鋸屋付近から井波市街付近までの12kmは確実である。なお、井波市街北方約8kmの庄川右岸付近まで、あるいはそれ以上延びる可能性がある。

・以上の調査結果を総合すると、高清水断層の活動状況については再来間隔等不明な点が多いが、最新の活動以降すでに4,000年程度は経過しており、近い将来活動する可能性がないとはいいきれない。