(5)断層の延長

 断層変位地形が認められる範囲として、大鋸屋付近から井波市街付近までの12kmとしたが、井波市街の北方約8kmの庄川右岸にも断層活動に伴う変位地形が認められることからさらに延長が増す可能性がある。

 図6.2.2は、庄川扇状地の出口から7km北方に位置する庄川右岸の地形区分図とその周辺の地形区分図である。低位段丘面の標高は庄川河床標高よりも20〜25m高く、南の庄川町中の段丘面対比から、当地域の段丘面は、低位段丘III面に対比される。低位段丘III面は、三合神社付近を中軸とする北東−南西走向の背斜構造を作っており、その東縁で低位段丘IV(V?)面構成層に限られている。低位段丘IV(V?)面構成層を作った河川は、現在の背斜に併走し南下した後、背斜の途切れる部分から向きを西に変えている。低位段丘III面は、東方山際では、北西に傾斜(傾動?)しており、背斜との中間で低位段丘V面構成層は閉塞されている。このことから背斜の西縁と東縁に地形的に見て断層が存在すると推定される。

 図6.2.3に三合神社脇の段丘露頭の写真とスケッチ、図6.2.4にその鉛直断面図を示す。段丘露頭の西縁の傾斜部では、B1〜C1層は、ほぼ段丘面の傾斜と平行に西に傾斜しており、地表の傾斜と平行に西へ20°前後傾斜しているように見える。

 なお、当地域においては、石油公団が国道359号沿いに庄川を横断する東西測線において反射法探査を実施している。その探査結果によると、三合の背斜西縁の推定断層の南延長部(道路が急カーブする付近)において、西落ちの基盤の落差が認めらる。これらのことから、高清水断層は、短くとも井波市街からこの付近までは延びている可能性が高い。

 今回、高清水断層北方延長については、充分な調査を行っておらず、確かなことは言えないが、断層の長さは、井波街中よりも北方に8km以上、総延長20km以上(庄川扇状地下の伏在部を含めて)となる可能性が高い。

 以上の調査結果を総合すると、高清水断層の活動状況については再来間隔等不明な点が多いが、最新イベント以降すでに4,000年程度は経過しており、近い将来活動する可能性がないとはいいきれない。