図5.2.3.3,図5.2.3.2に低位段丘IV面、V面の地形測量結果を示す。
測量は、図5.2.3.1に示す地形測量範囲について構造物、道路を除く水田1枚ごとの高さを測量し(測量データについては巻末資料参照)、その標高値を低位段丘IV面についてはB−B’断面に、V面についてはA−A’断面にそれぞれ投影した。
低位段丘IV面については、断層(地形から予測した断層位置)西側の引きずりの影響のない−200〜−100m間(距離程)と東側の200〜500m間(距離程)との標高差から、水田の造成の影響を見越しても鉛直方向に約7mの落差を読みとることができる。
一方、低位段丘V面について、起点から東方250m付近のやや標高が低くなっている道路そばのデータをはずして、同様に水田標高の上限の接線どうしを断層東側と西側とで比較すると、標高差約1.5mと読むことができる。
低位段丘IV面の年代はAT(姶良火山灰)の堆積面に対比されることから約2.4万年(暦年補正値ではもう少し古くなる)、低位段丘V面の年代は不明であるが、およそ数千年前程度と予想される。
このことから、低位段丘IV面の変位量から、断層の平均変位速度(鉛直成分)を計算すると0.3m/千年となる。低位段丘V面については、崖の標高差が1回の変位で形成された可能性が高く、段丘面が数千年前に形成されて以降、断層活動が1回あったことになる。もし、単位変位量が1.5m(鉛直)であるとすると低位段丘IV面の断層崖は、4回〜5回の断層活動の累積を見ていることになる。
したがって、平均的な再来間隔は、2.4万年÷4〜5=5〜6千年と推定される。