当地区の目的は、極浅層反射法探査の結果予想された山際の断層にトレンチを掘削し、変位を受けていない低位段丘V面構成層との関係を観察し、最新イベントの推定を行うこと、及びV面構成層以下の層準の変形の仕方から複数のイベントを読みとることであった。
当初、この目的を達成するため、支沢の出口と山際の断層とがつかる地点(反射法探査を実施した東方50mの低崖)でのトレンチを計画した。断層位置を確認するために3本の先行ボーリングを配置した(図5.2.1.2)。ボーリング柱状図を図5.2.1.3に示す。No.1孔,No.2孔,No.3孔とも基盤である埴生累層が深度1〜2mに認められる。また、No.2孔では深度3.3m位置に、No.3孔では、深度4mの位置に段丘構成層である砂礫、礫混じりシルトが認められることから、No.2孔とNo.3孔との間に変位量の小さい断層が存在するものの、主断層はNo.3孔よりも平野側(北側)に位置する可能性はあるものと判断した。
このため、トレンチ位置を極浅層反射法探査測線のすぐ東側の水田に変更した(図5.2.1.1)。
ここは、極浅層反射法地震探査をすぐ西側道路上で実施しており、反射法探査断面から断層位置の特定が比較的容易であった点、支沢の堆積物の流下域にあたる点で、成果が期待できるものと判断した。