図5.1.4.4は、昨年の反射法探査結果解釈図(左下)、及び、今回実施した極浅層反射法探査のマイグレーション処理後の解析図(極浅層反射断面)である。それぞれ、L1、L3の位置を投影した。L3付近(起点から82m)(上図)は、西から続いていた深度16〜18mの反射面がとぎれる位置に相当し、断層変位に伴うものであると考えられる。ただし、その変位量は2m前後と小さい。一方、L1付近(起点から23m)は、西から続く明瞭な反射面が急傾斜し、深度25m付近まで垂れ下がり、落ち込む位置に相当する。昨年の反射法探査結果からも主断層はL1とL3との間に予想しており、今回の極浅層反射法探査の結果では、断層面の位置ははっきりしないものの起点から30〜40mの反射面の東への急傾斜は、断層上盤側の引きずり、変形(撓曲構造)の現れである可能性が大きい。このことからも主断層の位置は、L1付近と予想した。
このため、断層位置を確認するため、先行ボーリング(No.1,長さ10m)をL1から西へ15m離した撓曲の肩の位置で実施した(図5.1.4.1、図5.1.4.4(ボーリングは反射断面へ投影している))。図5.1.4.4に示すように、ボーリングの深度GL−8.0〜8.7m間に上盤側の基盤である埴生累層を、深度GL−8.7m以深に落下側(下盤側)の砂礫層を確認した。このことから、断層位置は、埴生累層の直下を通り、L1に達するものと推定した。
したがって、断層は道路下にあり、用地上の制約もあることから、トレンチ掘削は道路のすぐ西側で行うこととした。当地点では、断層と直上の堆積物との関係を直接観察することは期待できないが、断層上盤側の低位段丘IV’面中にいくつかの断層活動による変形等のイベントを読むことができるものと考え、道路直近から断層とは直交する方向(西方)に長さ約20m,幅10m, 深さ4mのトレンチ掘削を行った(図5.1.4.5, 図5.1.4.6)。