(1)調査位置の選定の経緯,調査の目的

 当地区は、安居東地区の西方150mに位置し、北北東−南南西の伸びるバルジの西縁に相当する(図5.1.1.1)。法林寺断層の主部はバルジの東に位置するものと推定され、当地区の調査のねらいは、バルジ形成時のバックスラスト(共役逆断層)や、上盤側の地層の変形が起こったイベントから断層主部の活動を推定することである。変形を受けたと思われるバルジ構成層の上には、地形的特徴から変形を受けていないそれ以降の新期堆積物が分布し、新期堆積物の年代値が求まれば、断層の最新イベントが決まる可能性があると考え、本地区を設定した。

 当初、1989年の区画整備の道路工事の際、道路法面に山側(西)傾斜の断層が確認されており、当時の写真(図5.1.2.1)が残っていたため、法面の剥ぎ取りも検討し、仮掘削を行った。その結果、盛土が厚く調査困難と判断し、道路法面の北側の水田でピット掘削を実施することとした。ピットは、図5.1.2.2図5.1.2.3)に示すように、道路法面から北に5mの位置に選定し、道路法面と平行に東西に掘削した。