4−1−5 解析結果

法林寺測線

 図4−1−5に法林寺測線にて取得されたオリジナル波形例を示す(起振点位置0,50,100番)。本測線においては、推定された断層の位置が道路に近かったことより、道を隔てた民家内敷地をを始点(0番)としている。この民家および直交する道路上での起振の効率は悪く、取得された記録の反射波シグナルも明瞭なものとはなっていない。

 図4−1−6には、起振点50番におけるデコンボリューションテスト結果を示す。このテストではデコンボリューションのオペレータ長を10ms,40ms,80msと変化させている。いずれにおいても、テスト前の波形で観察される多重反射波は軽減されている。デコンボリューションによるノイズの増幅状態などのかねあいよりオペレータ長は40msと決定された。

 図4−1−7にはフィルター処理後の波形例を示す(起振点0,50,100番)。フィルター処理の主な内容は以下のとおり。

  静補正のデータム 110m

  バンドパスフィルターの通過周波数:20〜120Hz

  AGCのオペレータ長:300ms

  デコンボリューションのオペレータ長:40ms

 フィルター処理後の波形より速度解析を実施した。図4−1−8には速度解析結果を示す。この速度解析結果を速度テーブルとしてCDP重合を行った。CDP重合の結果を図4−1−9に示す。

 このCDP重合の結果に対し、シグナル強調を行い、最終データムまでの補正を行った結果を時間断面として図4−1−10に示し、マイグレーション処理も行った時間断面を図4−1−11に示す。図4−1−10図4−1−11を観察すると、距離15mから40mにかけて、時間150msから西上がりの傾斜で110msに達する顕著な反射波が特徴的である。この反射波は距離40mから平坦になり距離80mまで続く。これらの反射波よりも下位にこれらとほぼ平行する形で1〜2枚の反射面が認められる。この下位の反射波の振幅が小さいのは、相対的に第一の反射波が顕著であることが原因であると考えられる。また、距離90mから測線終端にかけては東上がりの反射波が特徴的である。

 図4−1−12には、時間断面に対して深度変換を行った結果、図4−1−13にはマイグレーション後時間断面に対して深度変換を行った結果を示す。それぞれの縮尺は、1/500であり、標高110mが深度0mとなるよう補正されている。深度変換に用いる速度は、速度解析の結果やボーリング調査結果などを参考に定めた。深度変換の結果、顕著な第1枚目の反射面が、距離40m以降では非常に浅い深度に分布していることがわかった。始点側の距離0〜20m、深度30〜50mに、連続性の悪い反射波が見られるが、重合数の少ない測線の端であり、また起振条件の悪い場所でもあったので、その反射波の示す構造の信憑性は低い。

 図4−1−14にはカラーで振幅を表示したマイグレーション後深度断面を示す。

東城寺測線

 図4−1−15に東城寺測線にて取得されたオリジナル波形例を示す(起振点位置0,50,100番)。本則線では、起振点0番で顕著に見られるように、表面波の振幅が大きく、反射波をマスクしているところもある。

 図4−1−16には、起振点50番におけるデコンボリューションテスト結果を示す。このテストではデコンボリューションのオペレータ長を10ms,40ms,80msと変化させている。ここでのデコンボリューションは表面波の軽減を期待してテストを行った。デコンボリューションによる表面波の軽減と高い周波数のノイズの増幅状態などのかねあいよりオペレータ長は40msと決定された。

 図4−1−17にはフィルター処理後の波形例を示す(起振点0,50,100番)。フィルター処理の主な内容は以下のとおり。なお、本則線では、表面波や回析波の影響が強かったことより、図4−1−17に示すように、0〜72mのオフセット距離(起振点から受振点までの距離)のトレースよりS/Nが良いトレースだけを選択してその後の処理に用いた。

  静補正のデータム 150m

  バンドパスフィルターの通過周波数:20〜120Hz

  AGCのオペレータ長:300ms

  デコンボリューションのオペレータ長:40ms

 フィルター処理後の波形より速度解析を実施した。図4−1−18には速度解析結果を示す。この速度解析結果を速度テーブルとしてCDP重合を行った。CDP重合の結果を図4−1−19に示す。

 このCDP重合の結果に対し、シグナル強調を行い、最終データムまでの補正を行った結果を時間断面として図4−1−20に示し、マイグレーション処理も行った時間断面を図4−1−21に示す。図4−1−20図4−1−21を観察すると、測線始点から距離50m程度にかけてほぼ平坦な反射波列を2枚(時間200msと250ms付近)認めることができる。また、距離60mから80mにかけては、全体的に西上がりとなっている反射波が顕著である。

 図4−1−22には、時間断面に対して深度変換を行った結果、図4−1−23には、マイグレーション後時間断面に対して深度変換を行った結果を示す。それぞれの縮尺は、1/500であり、標高150mが深度0mとなるよう補正されている。深度変換に用いる速度は、速度解析の結果やボーリング調査結果などを参考に定めた。深度変換の結果、顕著な第1枚目の反射面は、距離40m以降は非常に浅い深度に分布していることがわかった。

 図4−1−24にはカラーで振幅を表示したマイグレーション後深度断面を示す。

安居測線

 図4−1−25に安居測線にて取得されたオリジナル波形例を示す(起振点位置0,50,100番)。本則線は、未舗装のあぜ道上に設けたこともあり全体的に表面波の振幅が大きく、反射波をマスクしているところもある。

 図4−1−26には、起振点50番におけるデコンボリューションテスト結果を示す。このテストではデコンボリューションのオペレータ長を10ms,40ms,80msと変化させている。ここでのデコンボリューションは表面波の軽減を期待してテストを行った。デコンボリューションによる表面波の軽減と高い周波数のノイズの増幅状態などのかねあいよりオペレータ長は40msと決定された。

 図4−1−27にはフィルター処理後の波形例を示す(起振点0,50,100番)。フィルター処理の主な内容は以下のとおり。なお、本則線では、表面波や回析波の影響が強かったことより、図4−1−17に示すように、0〜72mのオフセット距離(起振点から受振点までの距離)のトレースより反射波のS/Nが良いトレースだけを選択してその後の処理に用いた。

  静補正のデータム 70m

  バンドパスフィルターの通過周波数:20〜120Hz

  AGCのオペレータ長:300ms

  デコンボリューションのオペレータ長:40ms

 フィルター処理後の波形より速度解析を実施した。図4−1−28には速度解析結果を示す。この速度解析結果を速度テーブルとしてCDP重合を行った。CDP重合の結果を図4−1−29に示す。

 このCDP重合の結果に対し、シグナル強調を行い、最終データムまでの補正を行った結果を時間断面として図4−1−30に示し、マイグレーション処理も行った時間断面を図4−1−31に示す。

 図4−1−32には、時間断面に対して深度変換を行った結果、図4−1−33には、マイグレーション後時間断面に対して深度変換を行った結果を示す。それぞれの縮尺は、1/1000であり、標高70mが深度0mとなるよう補正されている。深度変換に用いる速度は、速度解析の結果やボーリング調査結果などを参考に定めた。図4−1−324−1−33の観察により、本測線は3つのブロックに分けられる。測線始点から距離40mにかけて深度20〜25m付近に見られる反射波は緩く西に傾斜している。一方、距離40mから160mにかけて深度10〜20mを中心に見られる反射波は緩く東に傾斜しているが、これは地形の傾斜とほぼ同じ傾斜であり、深度になおすとほぼ平坦となる。距離160mより終点側の反射面はそれまでと比較して大きく落ち込んでいる。

 図4−1−34にはカラーで振幅を表示したマイグレーション後深度断面を示す。