3−4−1 法林寺断層

図3−4−1

地層の対比は地表地質踏査結果および既存のボーリングデータを参考にした。

反射法弾性波探査結果では、断層崖と認定した地点より山側(左側)では新第三紀の泥岩層・砂岩層が地表付近まで分布している。第三紀層は東南東(右側)に向かって一般に30〜45度傾斜し、断層崖付近ではほぼ鉛直に急傾斜している。断層崖より平野側(右側)では地層はほぼ水平である。

測線のほぼ中央、反射による断層の地表への延長付近(CDP600付近)の、低断層崖脇(平野側)で温泉ボーリング(深度1485m)が掘削されている。この既存ボーリングデータによれば、深度38mまで砂礫層、深度380m付近まで礫・砂質泥岩の互層(埴生累層?)、それ以深で砂岩、凝灰岩などが連続して分布している。 

断層より西側の間隔の狭い反射は泥岩の層理を反映し、中央付近断層上盤側の反射面の不明瞭なゾーンは層理の発達しない砂岩を表していると見られる。断層下盤の幅の広い反射が発達しているのは層相変化の激しい砂礫層を示していると見られる。

断層面は反射構造の異なる両側の地層を境界し、山側(左手)へ45度傾斜していると思われる。比較的明瞭な断層面(実線)以外にも、これに平行でやや不明瞭な断層面(破線)も推定される。

ボーリングデータによる深度38〜380m間の礫・砂質泥岩互層は丘陵部の露頭では確認されていない。富山県西部地域でこの層相に相当するような堆積物は埴生累層が挙げられるが、この周辺での厚く堆積した埴生累層の分布は今まで報告されておらず、地層対比についての詳細は不明である。仮に埴生累層(約70万年前)が分布すると考えると、埴生累層基底と地表との差が約380mあることから、0.57m/千年の平均変位速度となり、文献などに記載されている平均変位速度とほぼ一致する。