(1)呉羽山断層の解明点

(1)呉羽山断層の形成史

@80〜50万年前に堆積盆地に呉羽山礫層が堆積する。

A50万年前に構造運動(石動変動)が起き、呉羽山断層が活動する。この変動により平野部は沈降し、山地部は隆起を始める。

B呉羽山断層の活動に伴って、現在の丘陵の中・南部に丘陵地形の原型が生じ、湖 (第一射水湖)が形成する(峠茶屋層の堆積)。さらに断層の活動により、丘陵地形は北東方向へ付け加わるように隆起する(北代砂層・呉羽火砕岩層の堆積)。その後、友坂礫層および境の新扇状地礫層が堆積する。断層の活動はさらに続き呉羽丘陵と射水丘陵との間を通っていた河道が丘陵東南縁に沿うように流路を変える。

これらの活動の期間は、50〜2万年の間である。

(2)呉羽山断層のセンス

@断層露頭の発見より、本露頭の断層面は走向N42゚〜62゚Eで、北へ50〜70゚ 傾斜する高角度逆断層である。

A呉羽山断層は、丘陵に平行に北東−南西方向に延びる。呉羽丘陵の南東側の谷筋が左雁行を示し、左雁行断層に直交する正断層も認められる。また、呉羽山断層の北東延長で神通川が右横ずれで屈曲する。これらのことから、呉羽山断層は右横ずれ変位成分も有する。

(3)呉羽山断層の性状

表1−2−1呉羽山断層の性状〔富山県(1992)による〕 H1;更新世前期  日本の活断層(1991)では、延長は9km、隆起側の断層変位は 300mと記載される。

試錐資料によれば、富山大学付近で32mで第三系に達するが、神通川以東では200〜300m、深いところで810mまで礫層である。試錐資料および重力探査結果より想定される、富山平野北部の東西方向の地質構造は、以下のとおりである。

図1−2−1 富山平野北部の東西方向の模式断面図〔アーバンクボタ bR1(1992)〕