4−5−5 想定マグニチュードについての検討

今回の調査では,断層の長さや鉛直変位量についての情報が得られたが,水平変位量についての情報は得られなかった.調査地域を含む西日本内帯では横ずれ成分を有する断層が大勢を占めており,雨滝−釜戸断層系も地形的にはその部類に属するものと考えられる.これらのことから,想定マグニチュードの試算を行うにあたっては,複数のリニアメントが同時に活動を行う場合や水平ずれ成分を有する場合など,様々なケースを想定することが必要である.しかし,今回の調査ではそれらに関する詳細なデータが得られなかったことから,明らかになった事項の範囲で想定マグニチュードを試算した.以下に試算結果を示す.

表4−5−2 想定マグニチュードの試算結果

なお,マグニチュードが6.5以下の断層活動は地表面に現れる可能性がきわめて低いとされている.雨滝−釜戸断層は地表面にまで断層が現れていることから,計算上は想定マグニチュードが6.4であっても,それより大きな地震を引き起こす可能性は高い.また,横ずれ成分を含んで活動を行った場合もマグニチュードは大きくなるので注意が必要である.