4−4 雨滝−釜戸断層系の分布と構造

雨滝−釜戸断層系は,地形学的にはL−1リニアメントとL−3リニアメントとして認められる2本の活断層から構成される.

L−1リニアメントは,国府町木原から岩美町大坂,釜戸を経て福部村蔵見へ続く長さ約8.5kmの北西〜北北西走向のリニアメントである.L−1リニアメント上には,f15,f15’,f19,f16,f17,f18などの断層露頭が認められ,リニアメント上で掘削されたTO−2トレンチの壁面でも断層が認められた.f17露頭,TO−2トレンチ壁面を観察した結果,雨滝−釜戸断層の主断層は,東傾斜の東上がりの逆断層であることが明らかになった.これは,広域的な地形判読結果と調和的であるが,地形判読の結果では左横ずれ成分を有している可能性が高いと推定されていたにもかかわらず,詳細調査では左横ずれの成分については明らかにできなかった.

L−3リニアメントは,国府町上地から菅野を経て栃本へと約1.8km続く,北北西走向のリニアメントである.リニアメント周辺では主断層と推定される断層露頭は発見されていない.しかし,菅野地区で行ったボーリング調査の結果では,地形的に断層が伏在していると推定された位置で,基盤層である扇ノ山起源の安山岩溶岩の上面が西上がりの傾向を示していることから,断層が実在する可能性が高いことが明らかになった.