1−2 調査の目的

既存文献では,雨滝−釜戸断層系は鳥取県東部の鳥取市近郊にあり,最も長い雨滝−釜戸断層は約13kmの長さを有するとされている.それにもかかわらず,雨滝−釜戸断層系は,活断層研究会(1991)によって認定された以外は文献もなく,活動度も不明である.したがって,防災情報データベースを整備しより詳細な地震被害想定を行うなど,地域防災対策のより一層の充実・強化を図るためには,早急にその性状を解明する必要がある.

平成9年度は,地震関係基礎調査交付金によって,雨滝−釜戸断層系に関する(1)文献資料調査,(2)空中写真判読,(3)地表地質踏査を実施した.その結果,4本のリニアメント(L−1,L−2,L−3,L−4)が活断層の可能性が高いという結果を得た(表1−2−1).中でもL−1(雨滝−釜戸断層)とL−3(栃本南断層)は,確実度が高く,連続性や新情報が得られる可能性が高いことから,重要性の高い断層と評価された(図1−2−1).

平成10年度は,「平成9年度 雨滝−釜戸断層系に関する調査」の結果を参考に,雨滝−釜戸断層系の断層の位置,性状,平均変位速度,最新活動時期,単位変位量および地震再来間隔などの活動履歴に関する新知見が得られる可能性が高い地区を選定し,重点的な調査を行う.得られた調査結果を基に,活動履歴を明らかにし,長期的な地震発生の可能性について評価を行い,地震防災対策上に必要な基礎資料を得ることを目的とする.

表1−2−1 活断層調査結果及び評価一覧表

図1−2−1 平成9年度活断層詳細図