(1)歴史被害地震

鳥取県(1944)によると,天武四年(674年)の大地震から昭和18年(1943年)の鳥取地震(M7.2)まで,鳥取県を震わせた歴史地震は30回とされている.また,宇佐美(1987)によると,鳥取県を含む中国地方中東部から近畿地方北西部において,38個の被害地震が記載されている(図3−5).これらのうち鳥取県内に震央をがある被害地震のなかで,江戸時代の宝永の地震(1710年,M6.5)と鳥取地震(1943年,M7.2)の2つの地震は,地震活動が連続するといった地震の発生パタ−ンが良く似ている.前者では1710年10月に起きた本震の約5ヶ月半後にあたる1711年3月にM6.0の余震が起こっており,後者では1943年の3月にM6以上の地震活動があり,その約半年後の1943年9月に本震が起こっている(西田ほか,1991).

また,鳥取地震からわずか約40年後の鳥取県中部の地震(1983年,M6.2)の発生により,鳥取県中部から東部地域においては,地下に蓄積される地震エネルギ−がM6クラスの地震であれば,いつでも発生する可能性があることが再認識された(西田ほか,1991).