(3)中位段丘面

中位段丘面は,鳥取平野周辺の沿岸部や平野の奥部に分布しており,前者の中位段丘面の構成層は湯山砂層,後者のそれは津ノ井粘土層と呼ばれている(山陰第四紀研究グル−プ,1969).

湯山砂層は,福部村浜湯山を中心に平野の沿岸部に分布する.湯山砂層は,やや起伏に富んだ標高20〜40mの平坦面を形成し,その平坦面は上位面と下位面に2分される.上位面は,水つき砂層とそれを不整合に覆う風成砂(古砂丘砂)からなる面で,下末吉面に対比され,下位面は,水つき砂層のみで構成され,標高15〜25mの間に発達する侵食面で,武蔵野面に対比される可能性があると考えられている(赤木,1972).また豊島(1975)は,鳥取砂丘における湯山砂層は基本的には海抜25m内外の海面に対応して形成された古砂州(面)であると考え,いわゆる湯山砂層を古砂州を形成する湯山砂層とその上位の古砂丘を形成する古砂丘砂層に区分した.

津ノ井粘土層は,鳥取市津ノ井を中心に分布し,標高15m前後の平坦面を形成している.主に礫混じり粘土からなり(下部は砂礫が多い),湯山砂層の下部(砂州状堆積物)とほぼ同時期の内陸湖堆積物として対比されている.また,両層は大山中部火山灰層に覆われている(山陰第四紀研究グル−プ,1969;赤木,1972).調査地域においては,河岸段丘として蒲生川の中・上流部に沿って分布している他は、断片的である(赤木・豊島・佐治,1976).