(1)ボーリング結果

各ボーリング孔で採取した地質について特徴的な事項について説明するとともに、地層対比を行い、地質断面図を作成し図2−2−4−1および図2−2−4−2に示した。またコア写真を巻末に添付した。各地点のボーリング結果による地質状況は次の通りである。

@ B−1孔(標高:70.31m)

上位から地層の特徴を説明すると以下の通りである。

◎深度0.00〜0.39m(標高70.31m〜69.92m):地質;耕作土層

シルト質の腐植土。砂質ロームの不規則なパッチが混入する。

◎深度0.39m〜1.09m(標高69.92m〜69.22m):地質;礫混じり砂質ローム層

上下に砂質ローム層が分布するが、全体としては礫質の堆積物であり、二次的な堆積層である。礫質な堆積物の基質は、ローム質の砂等である。新鮮な青柳ローム層ではない。後述する青柳ローム層Uに対比される。

◎深度1.09m〜4.53m(標高69.22m〜65.78m):地質;砂礫層

礫含有率50%以上の砂礫層であり、礫径は10mm〜150mm以上である。礫形は円〜亜円であり、礫種は、主に砂岩を主としチャート、スレートが混入する。

基質は粗〜極粗粒砂である。青柳礫層に対比される。

◎深度4.53m〜12.00m(標高65.78m〜58.31m):地質;砂層

中〜極粗粒砂からなる砂層。粒子の違いがみられるだけでほとんど層相的には変化ない。石英粒子を主とし、ところどころに岩片が混入する。上総層群に対比される。

◎地下水位は、−4.55mであり、青柳礫層と上総層群の境界付近に存在する。

A B−2孔(標高:68.54m)

上位から地層の特徴を説明すると以下の通りである。

◎深度0.0m〜0.66m(標高68.54m〜67.88m):地質;耕作土

シルト質腐植土。

◎深度0.66m〜1.39m(標高67.88m〜67.15m):地質;黒ボク土層

粘土、ローム層のパッチが散在した黒ボク土層。下部は、シルト質の砂礫であり、後述するトレンチでも確認された黒ボク土層の基底に分布する砂礫層。

全体の層相は、ロームの混入がみられたり、層相的にも砂質であることと、色調がやや褐色であることなどから、一度移動した可能性がある。平成10年度の黒ボク土層の区分による、最上位の黒ボク土層Wに対比される。

◎深度1.39m〜1.42m(標高67.15m〜67.12m):地質;砂質シルト層

砂質シルト層。色調が黄褐色であり、特徴的な色調を示す。平成10年度の河川堆積物層に対比されるが、層相的には河川堆積物層Tのシルト層の部分にあたる可能性がある。

◎深度1.42m〜4.40m(標高67.12m〜64.14m):地質;砂礫層

礫径5〜70mmの砂礫層。礫含有率は50%以上である。礫形は、亜円礫が主体で、 一部円および角礫が混入する。礫種はほとんど砂岩であり、一部チャート、 スレート礫が混じる。基質は、中〜粗粒砂、一部シルト混じり粗〜極粗粒砂 である。青柳礫層に対比される。

◎深度4.40m〜8.05m(標高64.14m〜60.49m):地質;シルト〜砂質シルト層

シルトと砂質シルトの互層。色調は青灰色のやや還元的な状態のシルト層と褐色で一部凝灰質シルト層が挟在する砂質シルト層からなる。一部を除いて比較的硬質である。シルト層中にみられる葉理は、傾斜5°〜前述の凝灰質シルト層で25°〜40°の傾斜を示し、各岩相間の境界部では、傾斜20°〜50°の傾斜である。シルト層中には、不規則な割れ目が卓越し、コアが角礫状を示す箇所が認められる。上総層群のシルト層に対比される。

◎深度8.05m〜12.0m(標高60.49m〜56.54m):地質;砂層

中粒〜粗粒砂である。深度8.05〜8.65m付近ではシルト質の中粒砂の層相を示し、細粒であるため密着クラックが認められ、下位層との境界でも角度60°程度の傾斜を示す。ところどころに植物片の入ったやや腐植土質の層相を示す砂層は、深度8.65m〜9.10m付近にみられる。下位になるほど全体に粗粒になる。上総層群の砂層に対比される。

◎地下水位は、GL−3.40m付近にみられ、青柳礫層中に地下水位が存在する。

B B−3孔(標高:68.38m)

上位から地層の特徴を説明すると以下の通りである。

◎深度0.0m〜0.65m(標高68.38m〜67.73m):地質;耕作土

シルト質腐植土。深度0.18mをさかいに上下で層相が若干変化し、下位ほど締まっている。

◎深度0.65m〜1.00m(標高67.73m〜67.38m):地質;腐植土質礫

礫含有率は10〜30%の礫層。礫径は10〜40mmで亜円礫を特徴とする。基質はシルト・粘土質腐植土(いわゆる黒ボク土)であり、層準的にも黒ボク土層の基底部に分布する礫層にあたると思われる。ここでは黒ボク土層に含めた。

◎深度1.00m〜3.56m(標高67.38m〜64.82m):地質;砂礫層

礫含有率が50%以上の砂礫層。亜円礫が主体で、礫種は砂岩礫が多い。一部 チャート、スレートが混入する。礫径は、5〜120mm以上である。基質は、粗〜極粗粒砂である。下位の10cm程度は、円〜亜円礫主体で礫含有率も20%程度であり、上総層群のシルト層を取り込み、基質は砂質シルトである。この地層は青柳礫層に対比される。

◎深度3.56m〜8.18m(標高64.82m〜60.20m):地質;粘土〜砂質シルト〜シルト層

粘土層が挟在する砂質シルト〜シルト層である。やや青灰色のシルト層の箇所と褐色の砂質シルト層の箇所との互層である。深度6.0m〜6.5m間に密着クラックが傾斜角45°〜80°程度で発達する砂質シルト層が分布する。ただし、破砕帯は伴わない。6.8m〜7.0mでは、青灰色シルトと黄褐色の砂質シルトがコアの半分づつを占め、面なし断層状の様相を示すのが認められる。深度7.0〜7.5mでは極細粒砂・シルト層の葉理が弱く発達する箇所も認められる。この層準は上総層群に対比される。

◎深度8.18m〜12.0m(標高60.20m〜56.38m):地質;砂層 

ほとんど中粒砂からなる砂層。葉理がところどころに認められる。石英粒子が主体であり、わずかに岩片が混入する。

◎孔内水位は、GL−1.2m付近で最終に確認したが、この深度は実際の地下水位ではない。